集合住宅でよく使われるVDSL回線と、光配線方式のどちらがオンラインゲームに適しているかについて悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
オンラインゲームを快適に楽しむために、ネット回線の選択は重要です。
参考【VDSLが遅くて限界】速度改善方法とおすすめの乗り換え先を紹介!
VDSLでオンラインゲームは快適にできる?基本的な特徴と仕組み
VDSLは光配線方式とは異なる屋内配線を使っていて、通信速度や安定性に違いが生じます。
VDSLは屋内配線に電話回線を利用した伝送方式
VDSL(Very-high-bit-rate Digital Subscriber Line)は、屋内配線に電話線を使ってインターネットを提供する方式です。
ファイバーはMDF(主配線盤)まで引かれており、そこから各部屋には銅線の電話回線が利用されています。
そのため、データの転送速度や安定性は、電話線の状態やケーブルの長さに依存します。
VDSLの最大通信速度は100Mbps
光配線方式は、VDSLに比べて遅延が少なく、安定した高速通信が可能です。
理論上、VDSLの最大速度は100Mbps程度ですが、光配線方式では1Gbpsやそれ以上の速度を出すことができます。
最大通信速度 | |
VDSL | 100Mbps |
光配線方式 | 1〜10Gbps (プランにより異なる) |
また、VDSLの通信速度は、周辺環境や回線の利用状況によって大きく変動します。
一般的に、夜間や週末などのインターネット使用が集中する時間帯には、通信速度が著しく低下することが多いです。
ゲームをプレイする際、これが原因でダウンロードやアップロードに時間がかかり、ゲームプレイに悪影響を与える可能性があります。
VDSLの応答速度(Ping値)とゲームプレイへの影響
オンラインゲームにおいては、通信速度だけでなく、Ping値も非常に重要な要素です。
Ping値はサーバーへの応答時間を示す指標であり、値が低いほど応答が早く、遅延が少なくなります。
VDSLのPing値は、光配線方式に比べてやや高めになることが多いです。
これは、光ケーブルは光信号を伝送するため電磁ノイズの影響をほぼ受けませんが、メタルケーブルは電気信号を伝送するため電磁ノイズの影響を受けやすく、その結果パケロスが発生しやすくなります。
パケロスが発生すると、データ再送を行うため、その分遅延が発生します。
特に、FPSやMOBA、MMORPGや対戦ゲームでは、Ping値の高さがゲーム内での操作の遅延に繋がり不利になる可能性があります。
Ping値は「Speedtest by Ookla」などのサイトにアクセスし、測定ボタンをクリックするだけで、通信速度と一緒に応答時間(Ping値)を確認できます。
また、ブラウザからGoogle検索で「インターネット速度テスト」と検索することでも測定できます。
参考光回線でパケロス(パケットロス)が起きる原因は?ロス値の測定方法と解決策を解説
オンラインゲームにおけるVDSLのメリット・デメリット
オンラインゲームを楽しむ上で、これらの要素をバランスよく考慮することが必要です。
メリット1.月額料金が安く初期費用が安価
VDSLは、月額料金が光配線方式よりも安価であることが一般的です。
また、導入に必要な工事も比較的簡単で初期費用を抑えたい方には非常に魅力的な選択肢です。
メリット2.すぐに利用開始できる場合が多い
特に都市部の集合住宅では、VDSLの設備が既に設置されていることが多く、住民全体で回線をシェアする形で運用されることが一般的です。
大がかりな工事が必要ないため、手軽にインターネットを利用できる点もメリットの一つです。
デメリット1.通信速度が光配線方式に比べて低い
通信速度に関しては、やはりVDSLが光配線方式に比べて劣る点が否めません。
特に、大量のデータを高速でやり取りするオンラインゲームや、4Kなどの高画質動画を楽しむ場合、光配線方式と比較すると速度が物足りなく感じることが多いでしょう。
デメリット2.高負荷時に通信速度の低下やラグが発生しやすい
VDSLでは、ネットワークが混雑している時間帯に通信速度の低下や遅延が発生しやすくなります。
夜間や週末など、多くの人が同時にインターネットを利用する時間帯では、オンラインゲームに影響が出る場合があるでしょう。
もともと、光配線方式に比べて通信速度が低いうえ、混雑でさらに速度が低下するとプレイ中に大きなストレスとなる可能性が高いです。
参考光回線がラグい!遅延が発生する(レイテンシが高くなる)原因を徹底解説
デメリット3.共用部からの距離が遠いと速度が低下しやすい
VDSLでは、MDF(主配線盤)からの距離が遠いほど通信速度が低下します。
つまり、建物内で配線の距離が長い場合や、配線材の状態が悪い場合には、安定した通信が得られないことがあります。
VDSLと光配線方式を徹底比較!オンラインゲームに最適なのはどっち?
オンラインゲームに適した回線を選ぶためには、通信速度や遅延、コストといった複数の要素を考慮する必要があります。
光配線方式 | VDSL | |
速度・安定性 | ○ | × |
遅延(Ping) | ○ | △ |
コスパ | △ | ○ |
総合判断 | ○ | △ |
通信速度と安定性の違い|光配線方式が圧倒的に優位性は高い
通信速度においては、光配線方式が圧倒的に有利です。
光回線では1Gbps以上の高速通信が可能で、VDSLに比べてはるかに安定しています。
特に、大規模なゲームデータのダウンロードや、複数のデバイスで同時にインターネットを使用する場合には、その差が顕著に現れます。
遅延の比較|光配線方式の低遅延特性
光配線方式は、Ping値が低く、オンラインゲームでのレスポンスが良いです。
FPSやリアルタイムストラテジーなど、タイミングが重要なゲームでは、このPing値の低さが勝敗に直結します。
VDSLはこれに比べ、メタルケーブルがノイズの影響を受けやすいため、やや遅延が大きくなりプレイに影響を与える可能性があります。
コストパフォーマンスの違い|初期費用と月額料金の比較
コスト面ではVDSLが優れています。
初期導入の費用も月額料金も、光配線方式よりも低めに設定されていることが多いです。
予算を抑えたい場合には、VDSLの方が適していますが、本来の目的を十分に考慮する必要があります。
ただし、通信速度や安定性を重視する場合は、光配線方式を選んだ方が長期的にはコストパフォーマンスが高くなることもあります。
VDSLでオンラインゲームを快適にするための設定と対策
具体的な対策方法を紹介します。
ポイント
- 有線接続を使用して安定した通信を確保する
- ルーターのQoS設定でゲームの通信を優先する
- ルーターのファームウェアを最新バージョンに更新する
- オンラインゲーム向けのルーターやケーブルを使用する
有線接続を使用して安定した通信を確保する
Wi-Fi接続は、電波の干渉や距離によって不安定になることがあります。
特に、リアルタイム性が求められるオンラインゲームでは、LANケーブルによる有線接続がおすすめです。
有線接続にすることで、通信の安定性が向上し、Ping値も改善されます。
ルーターのQoS設定でゲームの通信を優先する
ルーターのQoS(Quality of Service)設定を利用することで、オンラインゲームの通信を優先させることができます。
他のデバイスが帯域を使っている場合でも、ゲームプレイに必要な通信速度を確保することができ、ラグや遅延をある程度防ぐことができます。
ルーターのファームウェアを最新バージョンに更新する
ルーターのファームウェアを最新のバージョンに更新することで、セキュリティの強化や通信の最適化が図られます。
特に古いルーターを使っている場合、ファームウェアの更新により通信品質が大幅に改善されることがあります。
オンラインゲーム向けのルーターやケーブルを使用する
ゲーミング専用ルーターや高品質のLANケーブルなどを使用することで、オンラインゲームの通信環境をさらに向上させることができます。
特に、複数のデバイスを同時に利用している場合には、通信帯域を効率的に管理できるゲーミングルーターの導入が効果的です。
Ping値や通信速度を定期的にチェックし回線状態を確認する
Ping値や通信速度を定期的にチェックすることで、低速になりやすい時間帯や、ラグの発生するタイトルなどを把握して改善に繋げることができます。
「Speedtest by Ookla」などのサイトで、回線速度、応答時間(Ping値)を確認できます。
また、ブラウザからGoogle検索で「インターネット速度テスト」と検索することで、Googleが提供する測定ツールを利用する事もできます。
VDSL物件の乗り換え先回線候補は?検討する順番を解説
VDSLの物件に住んでいる場合、インターネットの回線速度や安定性に不満を感じることがあるかもしれません。
より快適なネット環境を手に入れるために、いくつかの改善策を段階的に検討することが重要です。
検討手順
- 光配線方式への変更か戸建プランでの契約を検討する
- 難しい場合は、auひかりタイプGの対象物件を確認
- 非対応の場合は、J:COM NET 1Gコース
- 5Gホームルーターの利用も検討
1. 光配線方式への変更か戸建プランでの契約を検討する
最初に考慮すべき改善策は、屋内配線を光配線方式に変更できないか、という点です。
光配線方式への変更はお部屋に光コンセントを設置するため、必ず工事が必要になります。
物件オーナーや管理会社の許可が必要なため、非常にハードルが高いですが、まずは検討をしてみましょう。
次に検討したいのが、現在のVDSL回線から戸建向けのインターネットプランに切り替えることです。
VDSLはマンションタイプの回線であり、他の住人と帯域を共有しているため、速度低下が起こりやすくなります。
これに対して、戸建プランは独立した回線を使用するため、他の住人の影響を受けにくく、より安定した高速通信を提供します。
特に光回線の「戸建プラン」に切り替えることで、速度の大幅な向上が期待できます。
まずは、契約しているプロバイダや回線事業者に連絡し、戸建プランへの切り替えが可能かどうか確認してみましょう。
おすすめオンラインゲームにおすすめの光回線はコレ!ゲーミング回線選びのポイントも紹介
-
10G(ギガ)の光回線はコレがおすすめ!各社比較と選び方の注意点を現役通信技術者が解説【2024年10月】
おすすめ10G光回線 5選 回線事業者 月額料金(税込) ソフトバンク光 光コラボ回線 6,380円 6ヶ月目まで500円キャンペーン中 とくとくBBドコモ光 光コラボ回線 2年縛りプラン:6,380 ...
続きを見る
2. 難しい場合は、auひかりタイプGの対象物件を確認
もし、戸建プランへの切り替えが難しい場合、次に検討すべきは「auひかりタイプG」の利用です。
これは、VDSL方式に代わる「G.fast」と呼ばれる新しい技術を使った高速通信サービスで、下り最大664Mbpsの通信速度で利用できます。
従来のVDSL(最大100Mbps)よりも高い速度が期待できます。
ただし、auひかりタイプGはすべての物件で利用できるわけではなく、対象となる物件が限られています。
そのため、まずは自分の住んでいる物件がこのサービスに対応しているかどうか、auひかりの公式サイトで確認することが重要です。
物件名の後ろに「マンションG16」という表記があれば、G.fast対応物件です。
3. 非対応物件の場合は、J:COM NET 1Gコース
次に検討すべきオプションは、ケーブルテレビ事業者が提供している「J:COM NET 1Gコース」です。
これは、下り最大1Gbpsの通信速度を提供するプランで、従来のVDSL回線(最大100Mbps)よりもかなり高速です。
J:COM NETは、ケーブルテレビとインターネットをセットで利用することができるため、テレビ視聴やインターネット利用をまとめて契約したい方にもおすすめです。
4. 5Gホームルーターの利用も検討(Ping値に注意)
上記の選択肢が難しい場合、最後に検討すべきは「5Gホームルーター」の導入です。
5Gホームルーターは、工事不要でコンセントに差し込むだけで利用できる手軽さが魅力です。
また、5G対応エリアであれば、光回線に迫る高速通信も期待できます。
ただし、5Gホームルーターには注意点もあります。
それは、無線インターネットは、固定回線と比べて、Ping値(応答速度)が高めになることがある点です。
Ping値が高いと、オンラインゲームやビデオ会議など、リアルタイムでのやり取りが重要なシーンでは遅延が発生しやすくなるため、この点を考慮して選ぶ必要があります。
- PIng値(レイテンシ) 低 → 高
- 光配線方式 → VDSL → ホームルーター
まとめ:VDSLでオンラインゲームを楽しむためのコツと光配線方式との違い
VDSLでもオンラインゲームを楽しむことは可能ですが、安定性や速度を考慮すると光配線方式がより適しています。
光配線方式への変更や、戸建プランの利用、他回への乗り換えなども検討してみてください。
まとめ
- VDSLと光配線方式では、通信速度や安定性、遅延(Ping値)に大きな違いがある。
- オンラインゲームにおいて、通信速度やPing値の低さは非常に重要であり光配線方式の方が有利。
- VDSLはコストが安く導入しやすいが、通信速度や安定性に課題がある。
- VDSLでオンラインゲームを楽しむ場合、有線接続やルーター設定などの工夫が必要。
- VDSLから光配線方式や他の高速通信回線への乗り換えも検討する価値がある。
-
【VDSLが遅くて限界】速度改善方法とおすすめの乗り換え先を紹介!通常の光回線との違いも解説
VDSLは多くの集合住宅で利用されているインターネット接続方式ですが、その通信速度の遅さに悩んでいる方はとても多いです。 この記事では、VDSLの基礎知識、なぜ通信速度が遅くなるのか、速度改善のための ...
続きを見る
参考リンク
- NTT東日本:集合住宅の導入工事と配線方式について
- NTT東日本:フレッツ光マンションタイプ(VDSL方式)からフレッツ光マンションタイプ(光配線方式)への切り替えについて
- フレッツ光公式:フレッツ光ネクスト マンションタイプ(VDSL方式)機器接続方法
- NTT公式サイト:G.fastの標準化動向