光回線やプロバイダーでは、通信品質を維持するために、「帯域制限」が実施されることがあります。
帯域制限によって、一時的に通信速度が少し遅くなることもあります。
快適に光回線を使うためには、帯域制限が何か知っておくことは、実は重要です。
本記事では、帯域制限とは何か、どんな制限が具体的にあるのかなどを紹介します。
そもそもネット回線における帯域とは?
ネット回線における「帯域」とは、データの通り道の事をいいます。
帯域と通信速度は密接な関係があり、通信速度とざっくり同義と考えて頂いても問題ありません。
帯域を自動車の通行で例えると「帯域が広い=車線の数が多い」というイメージです。
帯域(データの通り道)が広いと、一度に通行できる自動車の数が多くなり、快適に通信ができるわけです。
帯域制限とは?どのような事が起きるの?
光回線の帯域制限とは、プロバイダー(ISP)がユーザーのインターネット使用量(帯域)を制限することです。
混雑による速度低下や、サービスの劣化を避けるために、帯域制限は実施されます。
光回線はかなり広い帯域幅で提供されますが、多くのユーザーが同時に大量のデータ通信をすると、回線混雑で速度が低下する可能性はあります。
そのため、回線が混雑した際に、一定の時間内にユーザーが使用できるデータ量(帯域)を制限することがあります。
また、短時間に大量のデータ通信をしたヘビーユーザーに対して、制限を実施することもあります。
こうした帯域制限によって、全体的なネットワークのパフォーマンスが維持されます。
なお、どんな時にどのように帯域制限を実施するかは、プロバイダーごとに異なりますが、帯域制限によって、一時的に通信速度が少し遅くなることもあります。
各プロバイダーの帯域制限の詳細は、事前に公式ページなどで確認しておきましょう。
帯域制限(帯域制御)の種類
通信事業者の「帯域制限」が正当な制限として認められるかは、電気通信事業関連の4団体「帯域制御の運用基準に関するガイドライン」で示されています。
各プロバイダーでは、このガイドラインに従って、帯域制限が実施されています。
- 公平制御
- ヘビーユーザ規制
- ペーシング、スロットリング、不可逆圧縮
- P2Pファイル交換ソフトに対する制御
公平制御
多数のユーザーが大量の通信をして回線混雑が発生し、品質低下の恐れがある時に、「公平制御」での制限が実施されることがあります。
公平制御での制限は、「500Mbpsまで」といった具合に、全ユーザーに上限を設定して制限がおこなわれます。
「全員が60%までカット」といった具合に、一律の割合で制限されることはありません。
上限を設定することで、ヘビーユーザーの利用が制限され、ライトユーザーの利用が確保されます。
どのユーザーも一定以上の通信品質が利用できるように、ヘビーユーザーから制限が実施されるわけです。
ヘビーユーザ規制
帯域制御ガイドラインでは、条件によっては「ヘビーユーザ規制」も認められています。
原因が特定のユーザーの大量のトラヒックにある場合、個別ユーザーのトラヒック量の検知や、当該ユーザーのトラヒックの制御が認められています。
大量のデータ通信をしたユーザーは、通信を制限することが認められているということです。
例えば、ドコモ光のプロバイダーの「ドコモnet」の注意事項を見ると、以下のような記載が確認できます。
本サービス用に使用する設備に対し、混雑の原因となる大量のトラフィックを発生させているお客さまに対し、帯域を制御すること等により本サービスの速度を制限することがあります。
実際に、多くのプロバイダーで「ヘビーユーザ規制」に該当するような、注意事項が確認できます。
なお、同程度の通信のユーザーのうち、一部に制限を実施することは、認められていません。
あくまで、電気通信事業法の「利用の公平」の範囲内で、制限は実施されます。
ペーシング、スロットリング、不可逆圧縮
帯域制限の方式としては、以下のようなものもあります。
- ペーシング
特定のアプリケーションのトラヒックの送信ペースを制御するなどの方式。動画ストリーミングの再生に対するバッファを減らすなど - スロットリング
特定のアプリケーション等やポート番号に係る帯域幅を制御する方式。あるアプリケーションの帯域を制限して、空き帯域を確保するなど - 不可逆圧縮
静止画像を見た目を損なわない範囲でデータの欠損を許容し圧縮するなど
帯域制御の運用基準に関するガイドライン検討協議会の「帯域制御ガイドラインについて」には以下の記載があります。
- 「公平制御」というより緩やかかつより公平な方法
によることも可能であることから手段の相当性を欠
くものと解され、正当業務行為として認めることは
困難であり、「個別」かつ「明確」な同意が必要。- また、同意を得たとしても利用の公平の観点から、
合理的かつ明確な基準を公開し、同一カテゴリの
データ・アプリケーションに対して一律に適用する
ことが求められる。
通信の秘密という観点では基本的には「×」で、明確かつ個別の同意が少なくとも必要となります。
利用の公平という観点では、基準を示して一律に適用する必要があるとのことです。
P2Pファイル交換ソフトに対する制御
P2Pファイル交換ソフトに対する制御は、条件しだいで認められています。
下記の制限については、他のユーザーの通信品質を確保するためであれば、認められています。
- 帯域を過度に占有しているP2Pファイル交換ソフトに係る通信を識別し、当該の通信量を制限
- P2Pファイル交換ソフトのトラヒックについて、アプリケーションの種別に応じて、制御の有無や程度について差異
一方で、下記のような制限は認められていません。
- 制御装置を利用して特定のP2Pファイル交換ソフトを識別し、当該アプリケーションの流通を遮断(通信の秘密に反する)
- 一部のコンテンツプロバイダを合理的な理由なく他のプロバイダよりも優先すること、特定のプロバイダからのトラヒックに限って制御を行うこと(利用の公平に反する)
帯域制限のよくある疑問に回答
帯域制限のよくある疑問をまとめています。気になる疑問を解決していきましょう。
- 帯域制限にかかるのはどんな使い方?
- 制限のないプロバイダーはある?
帯域制限にかかるのはどんな使い方?
短期間に大量のデータ通信をした後に、通信速度が遅くなった場合には、帯域制限の可能性があります。
例えば、データ通信量の多い以下の使い方は、少し注意が必要です。
- 高画質な動画の視聴(4Kなど)
- オンラインゲーム
- 大容量のダウンロード
また、夕方など回線が混雑するピークの時間帯に、通信速度が遅くなる場合も、帯域制限の可能性があります。
時間をずらして回線を使用するなどで、混雑は回避できます。
制限のないプロバイダーはある?
「制限なし」の記載が確認できるプロバイダーとして、次の3つが挙げられます。
- かもめインターネット
- 府中インターネット
- ちょっパヤ!ネット
上記プロバイダーは、フレッツ光や光コラボなどと合わせて契約が可能です。
いずれのプロバイダーも全国エリアに対応しています。
月額料金は2,410円で共通です。(府中インターネットはv6プラスコース、ちょっパヤ!ネットはフレッツ接続プランの場合)
3つのプロバイダのそれぞれで、最長25日間はキャンセルが可能なお試し制度があります。
まとめ
帯域制限について要点をまとめると、次のとおりです。
まとめ
- 帯域が広いほど、一度に送信できる情報量が多くなる
- 帯域制限は、プロバイダーがユーザーのインターネット使用量(帯域)を制限すること
- 全体としてのネットワークの品質を維持するために帯域制限が実施される