通信速度における「理論値」と「実測値」この二つの違いは何でしょうか?
理論値は技術上の最大通信速度を示すもので、多くの通信事業者がこれを基に速度を表示しています。
この記事では、差分が発生する原因と実測値の測定方法を詳しく解説します。
光回線の通信速度における理論値と実測値の違い
冒頭で述べたように、通信回線の「理論値」は机上で導き出した理論上の最大通信速度です。
一方「実測値」は実際に測定した通信速度です。
理論値とは技術的な最大通信速度
光回線の「理論値」とは、技術的な最大限度での通信速度を指します。
この速度は、理想的な状態での最大通信速度を示しており、実際の通信環境や利用状況によっては、この速度を大きく下回ることがあります。
一般的に通信事業者のホームページなどで訴求表示されている通信速度は、この「理論値」です。
実測値(実行速度)は実際の通信速度
「実測値」とは、実際に使用した際の通信速度を指します。
一般的には、速度測定ツールなどを使用して、ダウンロード速度やアップロード速度を測定します。
この測定結果が実際の通信速度で「実測値」です。
ベストエフォートとの関連性
「ベストエフォート」とは、提供される通信速度は保証しませんが、最大限の努力をするという意味合いで使われています。
光回線も一般的にはベストエフォート型のサービスとして提供されており、公表されている通信速度は技術規格上の最大値で、実利用時の通信速度を保証するものではありません。
回線が混雑している場合などには速度が遅くなる可能性がありますが、それでも最大限の努力でデータを送るという意味です。
そのため、契約している速度と乖離がある場合があります。
通信速度の単位と現在主流の最大速度は?
通信速度の単位はbpsで表される
回線の通信速度を示す単位は、bit per secondの頭を取って、bps(ビーピーエス)と言います。
これは1秒間に通信できるデータ量を示しており、例えば100bpsと表記されていれば、1秒で100ビットのデータ転送が可能です。
100Mbpsと表記されていれば、1秒間に100メガビット(1億ビット)のデータ転送が可能です。
そして、光回線の最大速度としてよく聞く「1Gbps」は、1秒間に1,000Mbpsのデータ通信が行えることを意味しています。
現在の光回線は1Gbpsが主流だが10Gbpsの光回線も徐々に登場
現在、多くの通信事業者が提供している光回線の最大速度は、1Gbpsが主流となっていますが、10Gbpsの光回線も徐々に登場しています。
特に動画視聴やオンラインゲームなど、大量のデータをやり取りするケースでは、10Gbpsの高速な通信速度がとても役立ちます。
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現在使用している回線の実測値を測定する方法
光回線の速度(実測値)を測定するためには、無料ツールを使用する事で簡単に測定できます。
おすすめの通信速度測定ツール
インターネット上には多くの無料速度測定ツールが存在しますが、その中でも「Speedtest」や「FAST.com」などの信頼性の高いツールを選択することがおすすめです。
また、Googleの提供する速度測定は、検索ブラウザに「インターネット速度テスト」と入力することで測定ツールが検索結果のトップに出てくるようになっています。
おすすめ測定ツール
正確な測定のために気を付けること
ポイント
- 他のデバイスの接続を解除する:通信速度測定中は、他のデバイスでのインターネット利用を避けることで、正確な測定が可能です。
- 有線接続の利用:Wi-FiよりもLANケーブルを使用した有線接続の方が、より正確な速度を測定することができます。
- 測定前にルーターの再起動:測定前にルーターを一度再起動することで、最適な状態での測定が可能になります。
測定結果で表示された各項目が持つ意味
代表的な通信品質の評価指標は以下の通りです。
PingやJitterは簡易的な測定では表示されない事もありますが、以下のポイントを確認する事で通信回線の評価を行う事ができます。
通信品質の主な評価指標 | |
ダウンロード速度 | データをサーバーから自分のデバイスにダウンロードする速度です。 動画のストリーミング再生や大きなファイルのダウンロード時に重要な指標です。 |
アップロード速度 | 自分のデバイスからサーバーにデータをアップロードする速度です。 ファイルのアップロードやビデオ通話時に重要です。 |
Ping(ピング) | サーバーとの通信の遅延時間です。 オンラインゲームやビデオ通話において、低い値が望ましいです。 |
Jitter(ジッター) | 遅延の変動(ゆらぎ)を指す値です。 サーバーにデータが到達するまでの時間が一定でなく、どの程度変動しているかを確認できます。 |
実測値(実行速度)と理論値に差が生まれる原因は?
実際の測定環境や条件によっては、「理論値」と「実測値」に差分が生じます。
この差分の原因としては、回線混雑による影響、ネットワーク環境の影響、外部環境の影響などや、測定ツールの誤差、計算モデルの違いなど、様々な要因があります。
このような変動は、通信環境や利用者の行動パターン、通信事業者のサービス品質などによっても影響を受けます。
回線混雑による影響
インターネットの通信速度は、使用している回線の混雑状況に大きく影響されます。
多くのユーザーが同時にアクセスする時間帯や、特定のイベント時(人気ゲームのアップデート配信時)などには、回線が混雑し、速度が低下することがあります。
家庭内のネットワーク環境の影響
家庭内のネットワーク環境(LAN)も通信速度に影響を及ぼす要因の一つです。
例えば、Wi-Fiの電波の届きにくい場所での使用や、多数のデバイスが同時に接続されている場合などは、速度が低下する可能性があります。
メンテナンスなどの外部要因による影響
天候や災害などによる通信障害、通信業者のメンテナンス作業など、外部の要因によっても通信速度に変動が生じることがあります。
これらの要因は予測が難しく、突発的に速度が低下することも考えられます。
(まとめ)光回線の理論値と実測値の違い
まとめ
- 光回線の「理論値」は技術上の最大通信速度を指し、通信事業者の表示速度はこれに基いている事がほとんど
- 「実測値」は実際の通信速度で、速度測定ツールで簡単に確認可能
- 通信速度の単位はbps。現在の光回線は1Gbpsが主流だが、10Gbpsも徐々に登場している
- 理論値と実測値の差分は回線混雑、家庭内のネットワーク環境、外部要因などによる
参考リンク
NTTコミュニケーションズ ベストエフォート型とは? :https://www.ntt.com/business/services/network/internet-connect/ocn-business/bocn/knowledge/archive_16.html