なるほど通信コラム

光回線の未来はどうなる?NTTが掲げる次世代通信IOWN(アイオン)構想をわかりやすく解説

光回線の未来はどうなる?NTTが掲げる次世代通信IOWN(アイオン)構想をわかりやすく解説

「IOWN」は「Innovative Optical and Wireless Network」の略で、NTTが関連する企業と共に推進する「光ベースの革新的なネットワークの構想」を指しています。

この構想は、現在の通信インフラの限界を超え、未来の情報社会をリードするための新しいネットワーク技術の提案として、世界からも注目を集めています。

泊木所長
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IOWNをはじめ、次世代の光回線についてわかりやすく解説します。
  • この記事の監修者
トミー

トミー(ネットワークエンジニア)

関東出身、通信業界に約20年身を置く現役の通信技術者です。
これまでに販売代理店での固定系回線販売や、プロバイダーでのテクニカルサポート業務を経て技術畑に転身。
現在はモバイルネットワークに関わる業務に約16年従事し、無線通信や通信基地局向けの光回線、IPネットワーク等の技術と日々向き合っています。
このサイトでは、快適な通信環境を整えるための情報を、簡潔に噛み砕いて分かりやすく伝える事を心がけています。» 運営者情報

光回線の現状と次世代の光回線

光回線の現状と次世代の光回線

泊木所長
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まずは、光回線の現状と、次世代の光回線技術についてご紹介します。

次世代の光回線技術

  • 光ファイバー:NECが従来の約4倍になる伝送容量の光ファイバーを開発
  • ネットワーク構成:NTTが推進するIOWNプロジェクトが進行中

光回線の現状とその進化

光回線の技術は、データ通信の高速化と安定性を追求する中で、近年急速に進化してきました。

現状の光回線は、10年前と比べてもサービス提供エリアは格段に広がり、高速で大容量のデータを瞬時に転送することが可能です。

この高速性は、4Kや8Kの映像ストリーミング、クラウドコンピューティング、IoTデバイスの普及など、現代のデジタルライフスタイルに欠かせない要素となっています。

今後は、光回線のインフラ整備も進められ、より多くの地域で高速インターネットが利用できるようになることが期待されています。

このような技術の進化は、ビジネスやエンターテインメント、日常生活のあらゆる面でのコミュニケーションの質を向上させるものとなるでしょう。

次世代の光回線技術とは?

近年、通信技術の進化に伴い、光回線技術の重要性が増しています。特に、次世代通信規格「6G」や「コネクテッドカー」の実用化により、通信量の急増が予想されています。

この背景を受け、日本のNECやNTTが次世代の光回線技術の開発を進めています。

NECは、従来の伝送容量の約4倍になる新しい光ファイバーの開発を進めています。(光ファイバー1本あたりの伝送容量は、毎秒80テラビット程度になる見通しです)

また、NTTは、独自の光技術を用いた次世代通信基盤「IOWN」の実用化を目指しています。

詳しくは後述しますが、この新技術は、現行の光回線技術を大きく上回ることが期待されています。

一方で、光回線の通信速度の問題や、新しい通信技術の出現(衛星通信や高速モバイル回線など)から、光回線は時代遅れとの声もありますが、そのような考えは早まった結論です。

実際に、5Gモバイル回線のバックホール(基地局とネットワークセンターを結ぶ回線)には光回線が活用されており、これは世代が6Gになっても変わらないネットワーク構成です。

また、次世代光回線の先駆者として、日本の企業の活動は国際的にも注目を集めていて、日本の高い技術力と研究開発への取り組みが、この分野でのリーダーシップを築いています。

泊木所長
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光回線技術の進化は、今後の通信技術全体の発展にとって、欠かせない役割を果たします。

未来の光回線がもたらす社会的影響

未来の光回線がもたらす社会的影響

未来の光回線技術は、単なる通信速度の向上だけでなく、持続可能な社会の構築に向けての大きな可能性を秘めています。

エネルギー効率の向上、環境問題への取り組み、デジタル格差の解消など、さまざまな社会的課題への取り組みを加速する要因となります。

泊木所長
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具体的な例を解説します。

持続可能なエネルギー消費と環境負荷の軽減

光回線技術の進化は、持続可能なエネルギー消費の観点からも注目されています。

現代のデータセンターや通信インフラは大量の電力を消費しており、エネルギー効率の向上が求められています。

次世代の光回線技術は、低エネルギーでの運用が可能となり、CO2排出量の削減やリソースの効率的な利用が期待されています。

また、これらの技術の導入により、都市部でのヒートアイランド現象の緩和や、環境負荷の軽減が可能となることが予測されています。

スマートシティと持続可能な都市開発

未来の光回線技術は、スマートシティの構築においても重要な役割を果たします。

高速・大容量の通信を基盤としたスマートシティは、都市の効率的な運営や環境問題への取り組みを強化する要因となります。

例えば、スマートグリッドの導入によるエネルギーの効率的な供給や、交通システムの最適化による渋滞緩和など、さまざまな都市問題の解決に貢献することが期待されています。

※スマートシティ=都市内に張り巡らせたセンサー・カメラなどの先進技術を活用して、都市の持続可能な発展と生活の質を向上させる、高度な効率と連携の取れた都市のことです。

※スマートグリッド=電気の利用量や需要をリアルタイムで把握し、それらのデータを活用して電力の有効利用を可能にする次世代のエネルギーシステムです。

地域のデジタル格差解消

高速なインターネット接続が都市部だけでなく、地方や離島にも広がることで、地域間のデジタル格差を解消・縮小することができます。

このような技術の普及により、リモートワークやオンライン教育などの機会が増え、地域経済の活性化や人口減少問題の緩和に寄与することが期待されています。

IOWNの基本的な概念とは?

IOWNの基本的な概念とは?

「IOWN」は「Innovative Optical and Wireless Network」の略で、NTTが推進する「光ベースの革新的なネットワークの構想」です。

この構想は、現在の通信インフラの限界を超え、未来の情報社会をリードするための新しいネットワーク技術の提案として注目を集めています。

IOWNは主に以下の3つで構成されます。

  • ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク」
  • サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」
  • それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備する「コグニティブ・ファウンデーション」

出典:NTTグループ公式サイト

IOWNの技術核心はオールフォトニクス・ネットワーク

オールフォトニクス・ネットワークとは、現在の光通信は、光と電気の組み合わせでネットワークを構築していますが、これをほぼ光をベースとしたネットワークに変更し、電気信号への変換時に発生する電力を抑止します。

信号変換の処理が必要ないため、消費電力を抑えられる他に、変換時に生じる遅延(レイテンシー)も減らす事ができます。

これにより、実現できる通信速度は100Gbpsと言われており、高速で大容量のデータ通信が可能となります。

泊木所長
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従来のネットワーク構成と比較して、電力効率は100倍、伝送容量は125倍、遅延は1/200になると考えられています。

デジタル・ツイン・コンピューティングとは?

デジタル・ツイン・コンピューティングとは、現実世界の物体やプロセスをデジタルモデルと連携させ、リアルタイムでシミュレーション・分析する技術です。

物体の挙動や状態を正確に把握し、効率化や最適化を実現することが目的です。

コグニティ・ファウンデーションとは?

コグニティ・ファウンデーションは、人工知能とデータ解析を活用して、ビジネス課題を洞察し、効果的な戦略立案を支援する組織や枠組みを指します。

連携する企業にはKDDIや楽天モバイルの名前も

NTTだけでなく、ソニー、インテルなどの大手企業もこの構想に注力しており、共同での研究開発が進められています。

これにより、多様な技術や知見が結集され、IOWNの実現に向けたスピードが加速しています。

KDDI、楽天モバイルも、IOWN推進団体(IOWN Global Forum)への加入をしています。

未来の情報社会を目指してプロジェクトは進行中

IOWNは、あらゆる情報を基に個と全体の最適化を目指しています。

これにより、人々の生活やビジネス、産業全体の効率化や新しい価値の創出が期待されています。

IOWNの構想は、今後の情報社会の発展において中心的な役割を果たすと考えられます。

その革新的な技術や連携する企業の動向に注目が集まっています。

泊木所長
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IOWNは日本から世界の通信を変え、様々な問題を解決する重要な技術として期待が高まっています。

岸田総理も日本政府として、しかっかりとプロジェクトをサポートしていくと発言しています。

IOWNがもたらす具体的なメリットは次に解説します。

IOWNがもたらすメリットとその可能性

IOWNがもたらすメリットとその可能性

泊木所長
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「IOWN」には以下のようなメリットがあり、多くの分野でのイノベーションを牽引することが期待されています。

超高速・大容量・低遅延通信

IOWNの技術を使用することで、従来の通信技術と比較して非常に高速で大容量のデータ通信が可能となります。

これにより、大量のデータを瞬時に送受信することができ、ビジネスやエンターテインメントの新しい可能性が広がります。

IOWNは、データの送受信における遅延を大幅に削減することができます。

リアルタイムの通信やオンラインゲーム、遠隔医療などのアプリケーションでの体験が向上します。

エネルギー効率の向上

IOWN技術は、エネルギー消費を最小限に抑えることができるため、環境にやさしい通信技術として注目されています。

光で構成されるため電力を消費せず、熱の発生も抑えられます。

柔軟なネットワーク構築と先進的なサービスの実現

IOWNを使用することで、ユーザーのニーズに合わせて柔軟にネットワークを構築することができます。

これにより、様々なサービスやアプリケーションの実現が可能となります。

これまでになかったエンドユーザー向けの新たな回線品目メニューの誕生、先進的なサービスやアプリケーションの開発が期待されています。

(まとめ)光回線の未来とIOWN構想について

(まとめ)光回線の未来とIOWN構想について

泊木所長
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最後にこの記事の要点をまとめます。

まとめ

  • IOWNは「Innovative Optical and Wireless Network」で、次世代の通信ネットワークを提案。
  • IOWNの技術核心はオールフォトニクス・ネットワーク(APN)
  • オールフォトニクス・ネットワークは、ほぼ光をベースとしたネットワークに変更し、電気信号への変換時に発生する電力を抑止。
  • 超高速・大容量・低遅延通信の実現とエネルギー効率の向上につながる
  • 光回線技術の進化が、エネルギー効率向上やスマートシティ構築、地域のデジタル格差解消などに貢献。

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