VDSL回線を利用している方の中には、通信速度の遅さや安定性に不満を感じている方も多いのではないでしょうか。
光配線方式に変更することで、インターネットの利用環境を劇的に改善することができます。
参考【VDSLが遅くて限界】速度改善方法とおすすめの乗り換え先を紹介!
VDSLから光配線方式へ変更するための工事内容と流れ
工事の流れと注意点について解説します。
申し込み〜工事の流れ
- マンションやアパートの管理会社への許可を申請する
- 回線事業者への変更申し込みをする
- 回線事業者による現地調査(サーベイ)※省略される場合も有り
- 変更可能な場合は、契約内容の確認と工事日を決める
- 光ケーブルの敷設と光コンセントの設置工事
- ONU(光回線終端装置)の設置と接続
- 回線事業者による疎通確認と品質チェック
マンションやアパートの管理会社への許可を申請する
光配線方式の導入には、マンションやアパートの管理会社やオーナーからの許可が必要です。
これは、共用部分とお部屋に工事が必要になるためです。
事前に工事の内容や期間、影響範囲などを説明する書類を提出する場合もあります。
許可を取るまでのプロセスは管理会社によって異なりますが、早めに連絡を取ることがスムーズな進行につながります。
※回線事業者への工事許可をNTT等の回線事業者が対応してくれる場合もありますが、原則として入居者が事前に許可を得る必要があります。
回線事業者への変更申し込みをする
オーナーや管理会社の工事許可が取れたら、次に光回線事業者に連絡し変更の依頼を行います。
事業者によっては、専用のフォームや電話で手続きが可能です。
この際、契約内容の確認や、新たなプランの提案を受けることがあるため、料金やサービス内容についてもチェックしておくと良いでしょう。
回線事業者による現地調査(サーベイ)※省略される場合も有り
光配線方式の導入には、現地調査が必要です。
現地調査では、建物の配管や配線の状態を確認し、どのように光ケーブルを各家庭に引き込むかが決められます。
現地調査の日程は、管理会社や光回線事業者と調整しながら進めることになります。
事前に調整を進めておくことで、スムーズな工事が期待できます。
管理会社の許可も必要になるため、早めに連絡を取っておきましょう。
現地確認の結果によっては、配管の修繕や新設が必要になることもあります。
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変更可能な場合は、契約内容の確認と工事日を決める
現地調査の結果、光配線方式への変更が可能な場合、契約内容(工事内容)の確定と、工事日の予約をします。
工事日は、自宅のスケジュールや管理会社の都合に合わせて設定します。
また、工事にはお部屋に光コンセントを設置するため、立ち会いが必要になりますので、日程の調整も行いましょう。
光ケーブルの敷設と光コンセントの設置工事
実際の工事は、お部屋までファイバーを敷設していきますが、配管内に余計な障害物がないか、配線が正しく行われているかを確認し、問題があれば修正が行われます。
配管や配線の整理も重要な作業です。
室内に光ケーブルが引き込まれた後は、光コンセントの設置作業が行われます。(これは共用部とお部屋を光ファイバーで接続するために必ず必要です)
既設のメタル配線と並行して光配線を敷設し、冗長構成で切り替えを行う場合や、メタル配線を撤去してから光配線を敷設する場合の2パターンがあります。
ONU(光回線終端装置)の設置と接続
光コンセントが設置されたら、次はONU(Optical Network Unit)の設置です。
この機器は光信号をデジタル信号に変換し、家庭内でインターネットを利用するための重要な役割を果たします。
VDSL利用時にはモデムかホームゲートウェイを利用していたと思いますが、光配線方式の場合、お部屋まで光ケーブルが敷設されるため、回線終端装置は光信号を受信するONUに変更されます。
回線事業者による疎通確認と品質チェック
工事が完了した後、実際にインターネットが正常に接続できるかどうかを確認します。
通信速度のチェックや、安定した接続ができるかのテストが行われ、問題がなければ工事が終了です。
万が一、不具合が発生した場合は、その場で修正が行われます。
以上で無事開通となります。
VDSLと光配線方式の違いとは?変更するメリットを解説
それぞれの特徴と、光配線方式に変更するメリットについて詳しく解説します。
VDSLの特徴|屋内配線にメタル回線を使用する方式
VDSL(Very-high-bit-rate Digital Subscriber Line)は、マンションやアパートなどの集合住宅でよく使われる方式です。
建物の共用部分までは光ファイバーが引き込まれていますが、各部屋まではメタル回線(電話線)で接続されます。
ただし、電話線を使用するため、通信速度や安定性が光配線方式よりも劣ります。
また、他の住人と回線を共有するため、利用者が増える時間帯には回線速度が低下しやすいのがデメリットです。
光配線方式の特徴|屋内配線の光ファイバーを使用する方式
光配線方式は、建物の共用部分から各部屋まで直接光ファイバーを引き込む方式です。
この方式では、すべての区間の通信が光回線で行われるため、高速で安定したインターネット接続が可能です。
光配線方式のメリットは、特に通信速度の向上が顕著で、最大1Gbps以上の速度を提供できることです。
また、光ファイバーの安定性により、通信品質が他の方式よりも高く、動画のストリーミングやオンラインゲームなどにも適しています。
VDSLと光配線方式の通信速度や安定性の違いは?
VDSLと光配線方式の大きな違いは通信速度と安定性です。
VDSLの平均速度は最大100Mbps程度ですが、光配線方式では最大1Gbps以上の速度が期待できます。
特に、オンライン会議や動画配信、オンラインゲームなど、大容量データを扱う際には、光配線方式のほうが大きなメリットを感じられるでしょう。
光配線方式へ変更するメリットは通信速度と安定性の向上
光配線方式に変更する最大のメリットは、通信速度の向上と安定性の改善です。
高速で安定した回線は、4Kや8K動画の視聴、クラウドサービスの利用、大容量ファイルのダウンロードなど、さまざまな用途でその効果を実感できます。
また、インターネット回線の混雑時でも速度の低下が少ないため、リモートワークやオンライン授業、オンラインゲームといった常に安定した通信が必要な状況でも安心です。
現地調査の結果、光配線方式への変更工事が難しいと判断された場合は?
現地調査の結果、光配線への変更工事が難しいと判断された場合に考えられる代替案について詳しく紹介します。
VDSL以外の候補
- 各家庭それぞれ戸建てタイプの光回線を申し込み使用する
- 屋内配線はそのままで回線速度を上げるauひかりのタイプG(G.fast)
- 屋内配線に既存のテレビ用配線を利用する方法(J:COM NET)
- 屋内配線が不要なローカル5Gの導入を検討する
- 5Gホームルーター(パブリック5G)の利用を検討する
各家庭それぞれ戸建てタイプの光回線を申し込み使用する
光配線方式の工事が難しい場合、建物全体で光回線を導入できなくても、各家庭が個別に戸建てタイプの光回線を申し込む方法もあります。
この方法では、各家庭ごとに光ファイバーを直接引き込み、安定した高速通信を確保できます。
この方法は、特に長期間の利用が見込まれる場合や、高速な通信速度が求められる用途で非常に有効です。
工事自体は外部の業者によって行われるため、ユーザーが直接行う作業は少なく、申込みと業者の手配だけで済むことが多いです。
ただし、集合住宅ではオーナーや管理会社の許可が必要になる場合があるため、事前に確認が必要です。
個別に光回線を引き込むことで、高速かつ安定した通信を実現できます。
屋内配線はそのままで回線速度を上げるauひかりのタイプG(G.fast)
光配線工事が難しい場合、auひかりが提供する「G.fast」技術を利用することで、回線速度を改善することが可能です。
auひかりのG.fastは、既存の電話線を活用し、最大で664Mbpsの速度を提供する次世代通信技術です。
これにより、大掛かりな工事を行わなくても、高速なインターネット接続が可能となります。
この技術の大きな利点は、既存の配線を利用できるため、屋内配線を新たに敷設する必要がない点です。
特に古いマンションやアパートでは、既存の電話線を活用することで建物全体に影響を与える工事を避けつつ、速度の向上を図ることができます。
G.fast対応のモデムに交換するだけで、通信速度が飛躍的に改善されるため、導入も比較的短期間で済むのが特徴です。
集合住宅や建物の構造上、光配線方式が難しい場合でも、auひかりのG.fastを利用することで、超高速インターネット接続を実現できます。
速度改善において工事を最小限に抑えたい方にとって、この方法は非常に有効な選択肢です。
物件名の後ろに「マンションG16」の表記があれば、G.fast対応物件です。
屋内配線に既存のテレビ用配線を利用する方法(J:COM NET)
光回線の工事が困難な場合でも、既存の設備を最大限に活用することで、快適なインターネット環境を得ることができます。
J:COM NETでは、既存のテレビ用の同軸ケーブルを活用して最大1Gbpsの高速なインターネット回線を提供しています。
この方法により、建物内部で新たな配線工事を行う必要がないため、工事の手間や費用を大幅に削減できます。
具体的には、同軸ケーブルを通じてデータを送受信するため、テレビの配線が既に整っている住宅であれば、特別な工事をせずにインターネット接続を確保できます。
また、J:COM NETのサービスでは、最大で1Gbpsの通信速度を提供しており、動画のストリーミングやオンラインゲームなどの高帯域を必要とする用途でも問題なく対応可能です。
既存の設備を利用して工事を最小限に抑えたい場合、J:COM NETの同軸ケーブルを利用したインターネット接続は非常に有効です。
屋内配線が不要なローカル5Gの導入を検討する
光配線方式の工事が難しい場合、ひとつの有力な選択肢として「ローカル5G」の導入があります。
ローカル5Gは、限られたエリア内で専用の通信網を構築する技術であり、特に屋内や工場、オフィスビルなどで有効です。
ローカル5Gの最大のメリットは屋内配線が不要である点です。
従来の光配線方式では、建物内に新たな配線を引く必要がありましたが、ローカル5Gでは無線で通信を行うため、そのような物理的な工事が不要です。
さらに、ローカル5Gは柔軟性が高く、企業や自治体が独自のネットワークを構築できるため、環境に応じた最適な通信環境を整えることが可能です。
これにより、光配線方式の工事が難しい場合でも、高速で安定した通信を実現できます。
このように、光配線方式にこだわらず、状況に応じて柔軟に他の選択肢を考慮することで、通信環境の改善を図ることが可能です。
5Gホームルーター(パブリック5G)の利用を検討する
光回線の工事がどうしても難しい場合や、工事を避けたい方にとって、5Gホームルーターの利用は最も簡単で効率的な選択肢です。
5Gホームルーターは、携帯電話のパブリックな5G通信網を利用してインターネットに接続するため、光回線のような配線工事が一切不要です。
また、設置も簡単で、電源を入れるだけで即座にインターネット接続が可能です。
5G通信は従来の4Gに比べて通信速度が大幅に向上しており、エリアによっては光回線に迫る速度の場合もあります。
実際、5Gホームルーターを利用すれば、1Gbps以上の速度が期待できる地域も増えています。
さらに、通信エリアが拡大しているため、今後はより多くの地域で高速な5G接続が可能になるでしょう。
工事不要で高速なインターネット環境を手に入れたい方には、5Gホームルーターの利用が最適です。
まとめ:VDSLから光配線方式への変更に必要な工事内容と手続きのポイント
VDSLから光配線方式への変更は、通信速度や安定性の向上に大きなメリットがあります。
工事をスムーズに進めるためには、管理会社との連携や光回線事業者とのやり取りが重要です。
申し込み〜工事の流れ
- マンションやアパートの管理会社への許可を申請する
- 回線事業者への変更申し込みをする
- 回線事業者による現地調査(サーベイ)※省略される場合も有り
- 変更可能な場合は、契約内容の確認と工事日を決める
- 光ケーブルの敷設と光コンセントの設置工事
- ONU(光回線終端装置)の設置と接続
- 回線事業者による疎通確認と品質チェック
まとめ
- VDSLから光配線方式への変更には、通信速度と安定性向上のメリットがある。
- 変更の際には、まず管理会社から工事の許可を得ることが必要。
- 光配線方式への変更が難しい場合は、auひかりのG.fastやJ:COM NETの同軸ケーブル利用、または5Gホームルーターの導入などの代替手段がある。
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参考リンク
- NTT東日本:集合住宅の導入工事と配線方式について
- NTT東日本:フレッツ光マンションタイプ(VDSL方式)からフレッツ光マンションタイプ(光配線方式)への切り替えについて
- フレッツ光公式:フレッツ光ネクスト マンションタイプ(VDSL方式)機器接続方法
- NTT公式サイト:G.fastの標準化動向