光回線のバックボーンとは一体何でしょうか?
この記事では、私たちが日常的に使用する通信が、どのような経路を辿ってインターネットに接続されているのか、バックボーンの構造、特徴、そしてその進化について詳しく解説します。
バックボーンとはアクセスネットワークの上位に位置するネットワークのこと
普段使用している、光回線やスマホなどはインターネットに繋がる際、必ずバックボーンネットワークを経由する必要があります。
光回線とバックボーンの関係性
バックホールとは似て非なる
バックボーンと似たような言葉で、「バックホール」と言う用語がありますが、似て非なる物なのでぜひ覚えてみてくださいね。
バックホール(Backhaul)は、携帯の無線基地局やアクセスポイントから、基幹通信網(データセンター)へのルートや接続を指します。
なお、バックホールの「ホール」は、HallやHoleではなく運搬などを意味する「haul」なので注意が必要です。
光回線のバックボーンの構造と特徴
バックボーンの構造詳細
まず、自宅から回線事業者の最寄り収容局までは光ファイバーが敷設されています。
収容局に届いた光信号は、電気信号に変換され、ISP(プロバイダー)の主要なネットワークへと流れていきます。
日本国内においては、NTTコミュニケーションズ、KDDI、IIJなどが主要なプロバイダーとして存在しています。
これらのISPは、インターネットエクスチェンジを介して相互接続されており、国内におけるバックボーンネットワークが形成されています。
ISP内でも各拠点(データセンター)間をリング状の構成などで相互接続しています。
さらに、日本国内のISPの上位には、世界各国の大手ISPが連携して、グローバルなネットワークを形成しています。
このネットワークは「インターネットバックボーン」と呼ばれ、海底ケーブルを介して各国の基幹ISPと相互接続されています。
NTT東西のバックボーン「NGN」とは?
NTT東西がメインで活用してるバックボーンは、NGN(Next Generation Network)と言い、2006年に実験的な導入が開始され、2007年下半年から商用化が始まった通信ネットワークです。
一言で表すと、ユーザーとISP間を結ぶ橋渡しのネットワークです。
IPNWを基盤とした通信ネットワークで、音声・データや映像などの情報を一つのネットワーク上で効率的に転送することが特徴です。
これより、高品質な音声通話や高解像度の映像通信が可能となり、さらに新しいサービスやアプリケーションの追加も容易になりました。
また、セキュリティ機能も強化されており、不正アクセスやデータの漏洩リスクを低減しています。
IPv6の接続ではVNE経由でインターネットに接続される場合もある
VNE(Virtual Network Enabler)事業者は、インターネットプロバイダにIPv6ネットワークを貸し出すことで、エンドユーザーに向けてIPv6接続機能を提供しています。
VNE事業者の存在により、ユーザーはより高速で安定したIPv6通信を享受することができ、インターネットの利用体験が向上しています。
光回線のバックボーンは今後どう進化する?
近年の通信技術の中で、この言葉が急速にその重要性を増しています。
従来のネットワークとは一線を画すその特性と、5Gとの絶妙なシナジーが、次世代の通信環境をどのように変えるのか解説します。
高性能なオールフォトニクスネットワーク
近年、光回線のバックボーン技術は急速に進化しており、その中心に位置するのが「オールフォトニクスネットワーク」です。
この技術は、ネットワークのすべてをフォトニクス(光)ベースの技術で構築することを目指しています。
現在、一般的なネットワーク構成として使用されているのは、オプティカルネットワーク(光)とIPNW(電気)の構成で成り立っていますが、
このネットワークを、ほぼ光ベースのネットワークに更改する事で、信号変換時の消費電力や遅延を抑制するという物です。
特に、NTTが掲げるIOWN構想において、オールフォトニクス・ネットワークは核心技術として位置づけられています。
この技術の導入により、通信速度は最大100Gbpsに達すると言われており、従来のネットワークと比較して電力効率は100倍、伝送容量は125倍、遅延は1/200という高性能が期待されています。
光回線の未来はどうなる?NTTが掲げる次世代通信IOWN(アイオン)構想をわかりやすく解説
「IOWN」は「Innovative Optical and Wireless Network」の略で、NTTが関連する企業と共に推進する「光ベースの革新的なネットワークの構想」を指しています。 この ...
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5G FMCで光回線とモバイル回線のコア設備併用
5Gの普及に伴い、モバイルデータのトラフィック需求は今後爆発的に増加すると予測されています。
特に、5Gの本領を発揮するためには、eMBB(超高速)、URLLC(低遅延)、mMTC(多数同時接続)といった厳しいサービス要件を満たす必要があり、ネットワーク設備の大幅な増強が不可欠となります。
一方、光回線は、その高速で安定した通信能力を持つ特性から、モバイル回線と光回線のコア設備併用をしようという物です。(5G FMCと言います)※FMC = Fixed Mobile Convergence
5Gと光回線は、それぞれ異なる接続仕組みを持ちながらも、相互に補完し合う関係にあります。
このような背景から、光回線のバックボーンは、5G FMCの実現に向けて海外等では検討が進められています。
(まとめ)バックボーンの特徴と役割
まとめ
- バックボーンはアクセスネットワークの上位に位置するネットワーク。
- 国内プロバイダーのバックボーンの上位には、さらに大きなインターネットバックボーンがある。
- インターネットバックボーンは、海底ケーブルなどを介して各国のプロバイダーと繋がっている。
- IPv6の接続では、VNE経由でインターネットに接続される事もある
- 光回線のバックボーン技術は急速に進化しており、「オールフォトニクスネットワーク」が注目されている。