光回線の増速は、一般的に1Gから10Gなどへのプラン変更で使用可能な「帯域」を増やす事を言います。
この記事では「光回線の増速」と、通信速度を向上させるために最も重要な要素について詳しく解説します。
光回線の増速とは?
一般的な話として、通信業界で「増速」というと、使用可能なネットワーク帯域を増やして通信速度を上げる事を言います。
光回線の増速とは?
増速 = 通信速度を上げるための取り組み
※増帯域とほぼ同意と考えてOKです。
代表的なパターンは回線速度を上げるプラン変更
冒頭で述べた通り、光回線の増速というと、プラン変更などで使用できるネットワーク帯域を増やして通信速度を上げる事が一般的です。
例えば、1G光回線から10G光回線へのプラン変更は、データの転送速度が理論上10倍になるため、動画のストリーミングや大量のデータのダウンロードが格段にスムーズになります。
また、複数のデバイスが同時にインターネットに接続していても、それぞれのデバイスの速度が低下することが少なくなります。
LAN区間の増速は主にルーターやケーブルの変更で実施
光回線の区間はプラン変更などで(帯域を増やして)速度を上げる事を解説しました。
今度は私たちの宅内側(LAN側)の増速について解説します。
ONUから下位側のネットワークで速度が遅くなっている場合、使用している無線LANルーター(Wi-Fiルーター)のスペックが低く、通信を適切に処理できていない場合があります。
Wi-Fiにも通信規格があり、より最新の規格の方が通信速度は速くなります。
LANケーブルも通信速度に大きな影響を与えるため、高品質なケーブルを選ぶことが重要です。
なお、スマホやパソコン、タブレットなどのデバイス側も使用する通信規格に対応したスペックの物である必要があります。
参考光回線のルーターは自分で用意した方がいいの?自前ではなくレンタルした方がいいのはどんな人?
Wi-Fiの通信規格 | |
規格名 | 最大通信速度 |
IEEE802.11ax (Wi-Fi6E) | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi6) | 9.6Gbps |
IEEE802.11ac (Wi-Fi5) | 6.9Gbps |
IEEE802.11n (Wi-Fi4) | 600Mbps |
IEEE802.11g | 54Mbps |
IEEE802.11a | 54Mbps |
IEEE802.11b | 11Mbps |
IEEE802.11 | 2Mbps |
LANケーブルのカテゴリ種別
- CAT8:通信速度40Gbpsに対応
- CAT7:通信速度10Gbpsに対応
- CAT6a:通信速度10Gbpsに対応
- CAT6:通信速度1Gbpsに対応
通信事業者が自主的に行う設備増強に直接的な増速効果はない
次に通信事業者が行なっている設備増設工事について解説します。
光回線における収容局の設備増設(増強)は、より多くのユーザーにサービス提供を行うことを目的としている場合と、ネットワークの輻輳回避のため保守の一貫として行なっている2種類の場合があります。
また、ネットワーク設備を旧式の物から、新式の物に置き換える工事を同時に行う事もあり、今まで使用できなかった新しいタイプのサービス品目を提供できるようになる場合もあります。
設備増強を行うことによって、トラフィックの分散が行われる → 使用できる帯域が増える → 実行速度が上がる(実質増速)という間接的なものです。(一部例外あり)
通信速度に最も影響を与える帯域とは何か?
通信における(ネットワーク)帯域とは、データの通り道と考えてください。
現在一般的に利用されている光ファイバーの帯域幅は、混雑などの影響を考慮しない場合、光ファイバーの両端に接続する機器の処理能力によりほぼ決まります。
帯域とはデータの通り道
ネットワーク帯域とは「データの通り道」であるため、道路に例えられることがよくあります。
道路が広ければ広いほど、一度に多くの車(情報)を通すことができます。
逆に、道路が狭ければ狭いほど、一度に通すことができる車(情報)の量は少なくなります。
- 帯域はデータの通り道のこと = 道路
- 帯域幅はデータの通り道の広さのこと = 道路の広さ
電波の場合は周波数によって使える帯域幅が異なる
例えば、5G通信では特定の周波数帯が用いられ、その帯域幅は4G用の帯域幅と比べても非常に広いです。
特にミリ波と呼ばれる28GHz帯の周波数では、400MHzの広い帯域幅を使用します。(4Gの帯域幅は1バンドあたり50MHz未満)
これにより、一度に大量のデータを高速に送受信することが可能となります。
高周波数の電波は、障害物に弱いという特性がありますが、その一方で、帯域幅を広れるため高速な通信が可能です。
一方、低周波数の電波は障害物に強いという特性を持ちつつ、通信速度は比較的遅くなります。
光回線の一般的な通信速度はどれくらい?
現在の日本国内の光回線の一般的な通信速度は、最大1G(ギガ)のものが主流です。
中には建物の屋内配線の理由で、100Mbpsが上限値のVDSL方式などの光回線もあります。
ところが、現在主流の1Gよりも高速な、2Gや5G、10Gの光回線も徐々に登場し始めています。
読み方は1G(ギガ)や10G(ギガ)が正しい読み方で、モバイル回線の4G(フォージー)や5G(ファイブジー)などとは異なります。
通信速度の理論値と実測値の違い
通信速度には、「理論値」と「実測値」の二つの概念が存在します。
まず、「通信速度の理論値」とは、理想的な状況下での最大速度を表します。
例えば、光回線事業者の公式サイトに記載されている通信速度は、この理論値を指します。
しかし、この通信速度は最適な条件下でのみ実現可能な速度なので、実際の環境下ではこの速度が出ることはありません。
一方、「実測値」は、実際の使用状況下での通信速度を指すものです。
これは、ネットワークの混雑状況、ユーザー宅内の物理的な障害物、Wi-Fi電波の干渉など、様々な要因によって影響を受けます。
そのため、実測値は理論値よりも大幅に低いことが一般的です。
理論値は、技術的な可能性を示す値であり、実測値は実際のパフォーマンスを示します。
光回線の通信速度が変動する要因は?
光回線の通信速度が変動する要因は、ネットワークの混雑状況、利用者の接続環境、使用している機器の性能などがあります。
参考光回線が不安定になる原因と対策を解説!接続が切れる・遅い光回線はどうしたらいい?
以下に主な原因をいくつか紹介します。
ネットワークの混雑状況
多くの人が同時にインターネットを利用する時間帯(例えば、夜間)では、通信速度が低下することがあります。
ネットワークの混雑状況は、通信速度に大きな影響を与える要因の一つです。
特に、多くの人がインターネットを利用する時間帯には、通信速度が低下することが一般的です。
これは混雑の影響で、各ユーザーが使用できるネットワーク帯域が狭くなるためです。
この問題を解決するためには、混雑している時間帯を避けて利用をするか、プラン変更による増速、通信事業者の変更などの対策があります。
利用者の通信環境
建物の構造や、Wi-Fiの設定など、利用者の接続環境も通信速度に影響を与えます。
光回線を使用する場合、一般的にはWi-Fiルーターを通じて回線を利用しますが、利用場所のWi-Fi信号強度が弱いと、通信速度が低下することがあります。
Wi-Fi電波の改善をする場合、Wi-Fiルーターの置き場所を変更してみたり、使用する周波数を変更する、またはWi-Fi中継機の使用などの対策が考えられます。
また、Wi-Fiのような無線通信ではなく、「ルーターとパソコンなどを有線LANケーブルで接続するネットワーク構成」に変更することも通信環境の改善に繋がります。
ネットワーク機器の性能
ルーターやパソコン、スマホなど利用するネットワーク機器の性能も、通信速度に影響を与えます。
古い機器やスペックが低い機器を使用していると、機器自体の性能が通信速度のボトルネックとなることがあります。
通信速度を最大限に引き出すためには、自宅のWi-Fi環境の最適化や、使用機器のアップデートで常に最新の状態であることが重要です。
光回線の速度を根本的に改善させたい人は10Gへの増速がおすすめ
光回線の速度を根本的に改善させたい人は、10Gプランの増速がおすすめです。
ただし、サービス提供されている地域がまだ限定的であったり、ネットワーク機器を10Gに対応している物に変更しないといけない、など注意点もあります。
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プラン変更による増速の注意点
光回線を10Gプランに変更して増速する際の注意点はいくつかあります。
10Gプランに変更しても、ルーターが10Gに対応していない場合、最大通信速度はルーターの性能に依存します。
ルーターの性能を確認し、必要であれば新しいルーターに交換することを検討してみてください。
また、影響力が大きいのがPCやスマホ側のデバイスの性能やLANケーブルなどの対応状況です。
10Gに非対応のデバイスやLANケーブルを使用している場合、インターネットへの接続ができても通信速度はほとんど改善されません。
そのため、10Gプランに変更する際には、ルーターやLANケーブル、PCやスマホが10Gに対応しているか確認することが重要です。
光回線を増速することのメリットは?
光回線の通信速度を上げる事は、インターネットを使用する際のストレスを大きく軽減します。
例えば、動画のストリーミングや大容量ファイルのダウンロードなどがスムーズに行えるようになります。
オンラインゲームのプレイなど、高速な通信が求められる場面でも快適に利用することが可能で、ゲームのアップデートなど、アクセスが集中する場面での通信速度の低下を防ぐことができます。
また、利用できる帯域が増える事によって、多くのデバイスを同時に接続しても通信速度の低下が起きにくくなるというメリットがあります。
光回線の増速はプラン変更などで使用可能な「帯域」を増やす事
まとめ
- 光回線の増速は、プラン変更などでネットワーク帯域を増やし通信速度を上げること。
- ルーターやLANケーブルなどのスペックを上げる事によりLAN区間の増速も可能。
- 通信事業者が行う設備増強は直接的な増速効果はないが、間接的に通信速度が上がる可能性がある。
- 通信速度に影響を与える要素は、ネットワークの混雑状況、利用者の通信環境、ネットワーク機器の性能など多岐にわたる。
参考リンク
Wikipedia 帯域幅とは:https://ja.wikipedia.org/wiki/帯域幅