通信には多くの複雑な要素が絡み合っていますが、中でも「パケ詰まり」という現象は、多くの人々の通信環境に影響を与える要因の一つです。
そもそも通信におけるパケットとは?
データ通信の世界では、情報の伝送に「パケット」という単位が使用されます。
Packet(パケット)は日本語に訳すと「小包」となります。
このパケットは、大きなデータを小さなブロックに分割して、ネットワークを介して送受信するためのものです。
パケットにする事のメリット
- エラーが発生した場合、該当するパケットのみを再送信することができる
- 通信回線の占有率を低下させることができる
- データの伝送が効率的に行える
パケットにする事のデメリット
- 各パケットが異なる経路で送信されたり、順序が入れ替わる事があるため、受信側での再組み立てが必要
パケットの構造とデータ送受信の流れ
パケットは主に「ヘッダー」と「データ」の2つの部分から成り立っています。
ヘッダーには、送信元や送信先、データの種類などの情報が含まれています。
データ部分には、実際に伝送される情報が格納されています。
PCやスマホなどのデバイスは、情報をパケットに分割して送信し、受信側のデバイスはこれを再組み立てして情報を復元します。
パケ詰まりとは交通渋滞が起きているような状態
「パケ詰まり」とは、通信ネットワーク上でのデータ送受信の遅延現象を指します。
この現象は、特に多くの人がインターネットを利用する時間帯や、大量のデータを同時に送受信する場面で顕著になります。
ネットワーク上のデータトラフィックが増加すると、交通渋滞が起きている状態と同じになり、パケットの転送は遅延する場合があります。
これは、ネットワークの帯域幅が需要に対して足りない状態になり一時的に飽和することや、ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の処理能力を超えるトラフィックが発生した場合に起こります。
パケ詰まりの主な原因は?
光回線やモバイル回線の通信速度が遅くなる「パケ詰まり」は、ユーザー側、回線事業者側、双方の箇所で発生する可能性があります。
ユーザー側デバイスの問題
使用しているデバイスやネットワーク機器に問題がある場合、通信がスムーズに行われないことがあります。
ケーブルの断線や接続部の不良など、ネットワークの物理的な問題が原因でパケ詰まりが発生することがあります。
LAN環境で多くのデバイスを接続している
複数のデバイスを一つの回線で使用している場合、通信しているデバイスの分だけ通信帯域を圧迫します。
これにより、パケ詰まりが発生する事があります。
混雑により需要に帯域の供給が追いついていない
多くのユーザーが同時にインターネットを利用することで、事業者の回線が混雑し通信速度が低下します。
需要を超えるデータトラフィック利用があった場合にパケ詰まりの事象が発生しますが、通信事業者側で、そもそも必要な帯域が用意できていないという場合もあります。
モバイル通信環境の場合は、花火大会やロックフェスなど局地的に利用者が集中し、パケ詰まりを起こす事があります。
このような事象を回避するため臨時の車載基地局を用意したりしてトラフィックを分散させています。
特定のサーバーにアクセスが集中
例えば、ゲームのアップデート配信がなどある場合や、人気商品の発売日などは特定のサーバーに対してアクセスが集中します。
このような場合でも、接続先のサーバーは過負荷となりパケットを処理できなくなります。
人気ゲームのアップデート時は、サーバーだけでなく、回線も輻輳(ふくそう)状態となります。
以下のように、回線事業者から事前に回線混雑の案内が出る事もあります。
【混雑情報のお知らせ】
8/23(火)、オンラインゲームのアップデート等に伴うデータ量の増加により、つながりにくくなるなどの現象が発生する可能性があります。
ご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、お時間をおいてから、改めて接続いただきますようお願いいたします。
出典:NURO光 公式SNSより
移動しながら使用している場合(モバイル端末の場合)
モバイル通信環境の場合、移動しながら通信を行うと使用する基地局が切り替わる事があります。
基本的に通信端末は、常に最寄りの基地局を使用するようになるため切替が行われています(ハンドオーバーと言います)
パケットが異なる経路(基地局)で送信されたり、これによりパケットの順序が入れ替わる事があるため、受信側でのパケット再組み立てが必要になります。
パケ詰まりとは少し意味合いが異なりますが、これにより遅延が発生する事があります。
パケ詰まりを解消するための具体的な方法
通信事業者側で起きている輻輳(ふくそう)であれば、ユーザー側でできる事は殆どありませんが、ルーターやネットワーク機器の問題が疑われる場合は、機器の再起動や設定の見直しを行うことで、問題を解消することができます。
また、パケ詰まりは日常的に発生するものではありませんし、ネットワークの状態としては良くない状態です。
もし頻繁にパケ詰まりが発生する場合は、通信機器の見直しや、通信キャリアの乗り換え等も必要になります。
Webページの更新、ブラウザの履歴やキャッシュの削除
Webページが正しく読み込まれない場合や、一時的なエラーが発生した場合、ページを更新(リロード)することで問題が解消されることがあります。
ブラウザの更新ボタンをクリックするか、キーボードの「F5」キーを押してページを再読み込みしてみてください。
またブラウザの履歴やキャッシュが溜まることで、ページの読み込みが遅くなることもあります。
定期的に、これらのデータを削除することで、ブラウザの動作を軽快にすることができます。
Wi-Fiやモバイル通信のオフ・オン
長時間稼働していると、ルーターやモデムなどの通信機器のパフォーマンスが低下することがあります。
定期的に再起動することで、通信環境を安定させることができます。
またモバイルスマホやタブレットの機内モードを一時的にオンにして、すぐにオフにすることで、モバイルデータ通信の接続をリセットすることができます。
これにより、一時的な通信トラブルを解消することができることがあります。
PCやスマホ、タブレットなどデバイス側の再起動
スマートフォンやタブレットなどのデバイスを一度再起動することで、システムの不具合をリセットすることができます。
特に長時間使用しているデバイスは、定期的な再起動をおすすめします。
ネットワーク接続設定のリセット
何らかの一時的なトラブルが発生している場合、ネットワーク設定をリセットすることで問題が解消することがあります。
ネットワークの設定を一度削除して、再設定は面倒ですが、こちらも効果的な方法です。
接続デバイスの数を減らしてみる
同時に多くのデバイスがインターネットに接続していると、通信帯域が足りなくなることがあります。
不要なデバイスの接続をオフにするか、別の回に切り替えてデバイスの接続数を分散させると、通信速度を向上させることができます。
Wi-Fiルーターの設置場所を見直す
Wi-Fiルーターの設置位置は通信速度に大きく影響します。
金属や他の電磁波を発する家電製品の近くに置くと、Wi-Fi電波が干渉を起こす可能性があります。
理想は、ルーターを家の中央に配置し、障害物の少ない場所に設置することがおすすめです。
Wi-Fi周波数を変更してみる
利用しているWi-Fi周波数変更することで、通信環境の改善に繋がる場合があります。
2.4GHzは電化製品との干渉が起きやすいため、5GHzもしくは6GHzのWi-Fi電波を使用すると良いでしょう。
有線LAN接続を利用してみる
Wi-Fi接続よりもLANケーブルを使用した、有線接続の方が安定しており、大容量のデータ転送やオンラインゲームをする際には有利です。
最新のファームウェアにアップデートする
ルーターなど通信機器のファームウェアは、定期的にアップデートが提供されることがあります。
最新のファームウェアにアップデートすることで、通信の安定性や速度が向上することがあります。
モバイル端末の場合はSIMカードの抜き差し
SIMカードの接触不良や一時的な不具合を解消するために、一度SIMカードを取り外して再度挿入することで問題が解消されることがあります。
通信回線やプランの見直し
現在の光回線が自分の使用状況に合っているかを確認し、必要に応じてプランを変更することで、通信環境を改善することができます。
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(まとめ)光回線のパケ詰まりの原因と解消方法
まとめ
- 通信における「パケット」は、データの伝送単位
- 「パケ詰まり」は、通信ネットワーク上でのデータ送受信の遅延現象
- パケ詰まりの原因は、ユーザー側デバイスの問題、回線混雑、特定のサーバーへのアクセス集中など
- ユーザー側でできる解消方法は、Webページのリフレッシュ、Wi-Fiの再起動、ネットワーク設定のリセット、デバイスの再起動など
参考リンク