「回線を引いたのはいいけど、サポートがつながらない」「リモート設定が難しくて放置している」
高齢者のネット環境には、見えづらいつまずきポイントがいくつもあります。
通信のプロとして、その問題をどう解決できるか。

ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 高齢者に適したインターネット回線を選ぶための4つの条件
- 回線種別ごとの特徴(無線ホームルーター、光回線、CATV、衛星回線)
- 契約前に確認すべき注意点(提供エリア・クーリングオフ制度など)
- 高齢者でも安心して利用できるおすすめのインターネット回線 など
高齢者に適したインターネット回線の条件は?

4つのポイント
- なるべく接続不良やトラブルが起こらない機器構成であること
- トラブル時にも簡単に復旧できる機器構成であること
- 回線の帯域が太く高速大容量の通信ができること
- 地域密着の対面サポートが受けられる回線であること
なるべく接続不良やトラブルが起こらない機器構成であること
高齢者にとって最も避けたいのが「よくわからないトラブル」です。
接続が突然切れたり、機器のランプが点滅したりすると、不安になってしまいます。
ケーブルの断線や、接触不良やルーズコネクトなど機器やケーブルが増えるとその分トラブルの原因になります。
なるべくトラブルが起きにくい、シンプルで最小の機器構成を選ぶことが大切です。
ボタンが多すぎたり、配線が複雑な機器は避けた方が無難です。
できるだけ少ない機器で、電源を入れるだけで使えるようなモデルがおすすめです。

トラブル時にも簡単に復旧できる機器構成であること
インターネットが突然つながらなくなると、不安になります。
そうしたとき、機器を簡単に復旧できる構成であることも重要です。
電源を一度抜いて、また差し込むだけで復旧するような機器だと、高齢者でも対応が可能です。
さらに、再設定やID・パスワードなどの入力が必要になる機器だと、サポートなしでは対応できないことが多いです。

回線の帯域が太く高速な通信ができること(特にアップロード帯域)
高齢者といえども、現代のネット利用には「高速通信」が欠かせません。
動画視聴、ビデオ通話、見守りカメラなど、多くのデータをやり取りする用途が増えています。
特に見守りカメラのようなリアルタイムの映像送信を行う場合、上り(アップロード)速度が重要です。
回線の帯域(通信の幅)が狭いと、映像が途切れたり、通信が不安定になったりする可能性があります。
そのため、下り速度(ダウンロード)だけでなく、上り速度も安定した回線を選びましょう。
- 下りの帯域:データの受信(ダウンロード)に使用
- 上りの帯域:データの送信(アップロード)に使用
地域密着の対面サポートが受けられる回線であること
トラブルが起きたとき、電話やチャットだけではなく、実際に訪問して対応してくれるサポートがあると安心です。
特に高齢者の場合、言葉だけではトラブルの状況をうまく伝えられないこともあります。
地域密着型のプロバイダーや、訪問サポートがある大手事業者を選ぶと、万一のときも安心です。

自宅向けインターネット回線の種類には何がある?
ここでは、現在主流となっている家庭用インターネット回線の種類と、それぞれの特徴を紹介します。

主なインターネット回線
- 無線ホームルーター(最もおすすめ)
- 光回線
- CATV
- 衛星インターネット
-
【代替案】光回線が引けない!光回線以外のおすすめインターネット回線を全解説!【2025年最新版】
光回線以外のおすすめインターネット回線を見る 令和4年7月1日改正の電気通信事業法について 2022年7月1日以降の通信回線契約において、月額料金1カ月分を超える違約金の請求はできなくなりました。 こ ...
続きを見る
無線ホームルーター(最もおすすめ)
無線ホームルーターは、電源を入れるだけでインターネットが使える、とてもシンプルな機器です。
基本的に配線工事が不要で設置も簡単で、機器構成はルーター1台のみ。
ボタンも少なく、操作も迷いません。
高齢者の一人暮らしや、ネット利用が限定的な家庭に特に向いています。

光回線
光回線は現在最も安定していて高速な回線です。
最大通信速度は最大10Gbpsにもなり、動画視聴や複数人の利用にも強いです。
ただし、開通には工事が必要で、設定も複雑になることがあります。
機器構成も、ONU(回線終端装置)とルーターの2台が必要となるため、管理がやや複雑です。

CATV(ケーブルテレビ)
CATV(ケーブルテレビ回線)を使ったインターネットも、一部の地域で利用可能です。
最大通信速度は300Mbps~1Gbps程度とやや控えめですが、テレビとのセット契約で割引が受けられることもあります。
通信の安定性は地域によって異なり、混雑時間帯には遅くなる場合もあります。
機器構成や設定は光回線と似ていますが、工事の内容が異なるため注意が必要です。
上り(アップロード)の帯域が狭いことがあるので、見守りカメラ等をご利用される場合には注意が必要です。
衛星インターネット
山間部や離島など、他の回線が使えない地域で活躍するのが衛星インターネットです。
天候の影響を受けやすく、宇宙の人工衛星を経由するため、他の回線と比べると通信の遅延があり、動画や通話にはやや不向きです。
機器構成はアンテナとルーターが必要で、設置やメンテナンスの手間も大きくなります。

無線ホームルーターは取扱が簡単で最もおすすめ

その理由を具体的に解説します。
参考最強の無制限ホームルーターはコレ!現役通信技術者が選ぶ最新おすすめランキング

ソフトバンクエアー
端末に操作ボタン関係がないので取扱が簡単
無線ホームルーターは、ルーター本体に電源ボタンや設定ボタンがほとんどありません。
操作ミスによるトラブルが少なく、基本的に電源を入れるだけで自動接続されるよう設計されています。
光回線用のWi-Fiルーターも似た構造ですが、無線ホームルーターの方がよりシンプルです。

トラブル時には電源のオフオンだけで復旧する可能性が高い
万が一接続トラブルが起きても、コンセントを抜いて数秒後に差し込むだけで直るケースが多いです。
難しい設定をし直す必要がないため、高齢者でも簡単に対応できます。
トラブル時の対処方法を紙に書いて壁などに貼っておくのもおすすめです。

5G対応機種なら光回線に迫る高速通信も可能(エリアによります)
最近の無線ホームルーターは5Gに対応しており、条件が揃えば光回線並の速度が出ることもあります。
特に5Gのサービス提供エリアでは、安定した高速通信が期待できます。
ただし、5Gのエリア外だと速度が落ちる場合があるので、契約前にエリア確認は必須です。
通信速度が重要な用途(見守りカメラなど)を使用する場合には、5G対応機種を選び、5Gのサービスエリアを確認しましょう。
高齢者におすすめのホームルーターと訪問サポートがある光回線
ここでは、特に高齢者におすすめできるホームルーターと、訪問サポートがある光回線サービスを紹介します。
選定のポイントは「使いやすさ」と「サポートの手厚さ」です。

高齢者におすすめ
- ソフトバンクエアー(ソフトバンク回線を利用した無線ホームルーター)
- WiMAX+5G(KDDI系の無線ホームルーター)
- ドコモ home 5G(NTTドコモの無線ホームルーター)
- ビッグローブ光(訪問サポート有り)
- J:COM NET(訪問サポート有り)
ソフトバンクエアー(ソフトバンク回線を利用した無線ホームルーター)
ソフトバンクエアーは、工事不要ですぐに使える無線ホームルーターです。機器のデザインもシンプルで取り扱いが簡単です。
コンセントに差し込むだけで自動的に回線に接続され、通信速度も5Gエリアであれば高速通信が可能です。
サポート体制も充実しており、「ソフトバンクショップ」で直接相談できるのも高齢者には心強いメリットです。
ソフトバンクエアーのおすすめポイントとしてエアターミナル6の機種は、SIMカード不要のeSIM対応です。
機器内でSIMカードの接触不良や認識エラーがトラブルの原因になる事があるため、事前に通信不良の危険因子を1つ排除できます。
参考ソフトバンクエアーは本当に遅くて繋がらないのか?無線通信の専門家が通信品質を詳しく解説
WiMAX+5G(KDDI系の無線ホームルーター)
WiMAX+5GはUQコミュニケーションズをはじめ、WiMAXプロバイダー各社提供する高速通信サービスです。
5G通信に対応しており、5Gエリア内であれば光回線に近い速度を実現できる場合もあります。
ただし、建物の構造や場所によって速度に差が出ることがあるため、契約前のエリア確認は必須です。
ドコモ home 5G(NTTドコモの無線ホームルーター)
ドコモの「home 5G」は、ドコモのスマホとセットで割引になるプランがあり、ドコモショップでの対面サポートも受けられる点が強みです。
機器の設定は不要で、電源を入れるだけでネット利用ができます。
国内最多の基地局数を誇るドコモの回線を利用するため、サービス提供エリアが広いです。
家族がドコモユーザーであれば、セット割を活用するのも賢い選択です。
ビッグローブ光(訪問サポート有り)
ビッグローブ光は光回線ですが、訪問サポートが手厚く、高齢者世帯にも丁寧に対応してくれると評判も良いです。
回線速度も安定しており、テレビとのセット割などもありコスト面でも優れています。
「初めて光回線を使う」という方にも安心して利用できるインターネット回線です。
J:COM NET(訪問サポート有り)
J:COM NETはケーブルテレビ系のインターネットサービスで、特に都市部や一部地域で人気です。
おまかせサポートで訪問サポートや工事、設定の代行も丁寧に行ってくれます。
テレビとのセット利用での割引も充実しており、テレビもネットもまとめて使いたい高齢者には非常に便利です。
地域によって通信品質に差があるため、申し込み前には口コミや評判を確認しましょう。
無線ホームルーター申し込み前の確認と注意点
無線ホームルーターは非常に便利ですが、申し込み前にいくつかの注意点をチェックすることが大切です。

エリアマップでサービス提供エリアを確認する
まず大前提として、自宅がそのサービスの提供エリアに入っているかどうかを確認しましょう。
特に田舎のエリアでは5Gのサービス提供エリア外の事もあるため、各公式サイトのエリアマップでチェックが必要です。
地図を見て提供エリア内であるか「ギリギリ」の場合は、少し慎重になった方がよいです。
事前に試用できるキャンペーンもあるので、活用しましょう。
また、実際に利用してみて、思うような通信品質で利用できない場合、8日以内であれば無条件で解約できるクーリングオフのような制度があります(初期契約解除制度と言います)
こちらの利用方法は通信事業者によって申請方法が異なるため、事前に確認しておくと安心です。
-
【やっぱり辞めたい】光回線の申し込み後キャンセルは8日以内なら無条件でできる
光回線の申し込み後キャンセルは、契約書類の受領日を初日として8日以内であれば可能です。 これは電気通信事業法で定められている消費者保護ルールによるものです。 光回線の申し込みは8日以内に限り無条件でキ ...
続きを見る
WiMAX+5G以外のホームルーターは申告した住所のみで利用可能なため注意
ドコモhome 5Gやソフトバンクエアーなどは、申込み時に登録した住所でのみ使用が許可されています。
引っ越しや持ち運びには対応していないため、申告した住所以外では使用できないことに注意しましょう。
この点を知らずに別の場所で使おうとすると、契約違反になり、回線の利用停止となることもあります。
WiMAX+5G以外のホームルーターは、申告した住所でのみ利用可能なため注意が必要です。
物理SIMの不良トラブルの心配がないeSIMを活用したホームルーターを選ぶと安心
物理SIMカードを使うホームルーターは、SIMカードの抜き差しや、SIMカードの接触不良によるトラブルが起きやすいです。
その点、eSIM(埋め込み式のSIM)を使ったルーターであれば、そうしたトラブルのリスクが減ります。
特に高齢者が扱う場合は、「余計な部品が少ない」ほうがトラブルが少なくて済みます。
新たに契約する際は、eSIM対応モデルを優先的に検討しましょう。
営業電話が頻繁にかかってくることが多いので連絡先は家族の連絡先にする
ネット回線の契約をすると、しばらくの間、営業電話がかかってくることがあります。
高齢者本人の電話番号を登録してしまうと、迷惑電話と誤解したり、内容が理解できなかったりする恐れがあります。
可能であれば、契約時の連絡先を家族にしておくと安心です。
これにより、重要な連絡も確実に家族が把握でき、無用なトラブルを避けることができます。
離れて住む家族が端末を再起動するためのアイデア
高齢者が一人でインターネット機器を操作するのは難しいこともあります。
そこで、家族が遠隔でサポートしやすいような工夫をしておくことが大切です。

トラブル時の掲示物作成
機器の近くに、「困ったときの対処法」を紙に書いて貼っておくと便利です。
例えば「このコンセントを抜いて10秒待って、もう一度差す」といった説明を図解付きで貼っておくと、高齢者でも自力で対処できます。
フォントは大きく、イラストや矢印を使うと、より分かりやすくなります。
コンセントやケーブル類に丸札や目印を付けておくのも良いかもしれません。

リモート電源操作タップ(ネット回線が利用できる必要有り)
最近では、スマホアプリから電源のオン・オフができる電源タップもあります。
これを使えば、離れた場所からでも自宅のルーターの電源を再起動できるようになります。
高齢者が操作しなくても家族が対応できるので、精神的な負担も減ります。
ただし、ネット回線を利用してリモート操作をするため、ネットに接続されていることと専用スマホアプリが必要です。


画像出典:Amazon公式サイトより
あると安心な雷サージ対策
落雷やゲリラ豪雨による電源トラブルを防ぐために、雷サージ対応の電源タップを使うのもおすすめです。
雷によって一時的に電圧が急上昇すると、ルーターが壊れてしまう危険があります。
壊れてしまうと再起動では復旧できず、新しい機器の修理や交換が必要になることもあります。
安価で設置も簡単なので、ひとつ用意しておくと安心です。

画像出典:Amazon公式サイトより
-
落雷時にネット回線の機器故障を招く雷サージとは?光回線への影響を解説します
光回線は一般的に雷に強いとされていますが、完全に影響を受けないわけではありません。 特に、落雷によって発生する「雷サージ」は光回線に接続する機器にダメージを与えることがあります。 この記事では、雷サー ...
続きを見る
(まとめ)シニア世代におすすめのインターネット回線

4つのポイント
- トラブルが少ない機器構成であること
- 万が一のトラブルでも簡単に復旧できること
- 高速で安定した通信ができること
- 訪問サポートなど人の手による支援が受けられること
特に「無線ホームルーター」は、工事不要・操作簡単・高速通信と三拍子揃った非常に有力な選択肢です。
ご本人やご家族が安心して使えるように、この記事を参考に最適な回線を選んでください。
「うちはこうした工夫をしています」といった体験談がありましたら、ぜひ記事下のコメント欄で教えてください!
参考リンク
- 高齢者のインターネット利用率:NICT :https://www.nict.go.jp/info-barrierfree/
- 消費者庁:高齢者を取り巻く社会環境の変化:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2023/white_paper_122.html