集合住宅に住んでいる方の中には、「工事なしでインターネットが使える」と言われる事の多いVDSLに疑問を持っている方も多いと思います。
「光コンセントが無いのに工事不要なのはなぜ?」と不思議に思われている方もいるでしょう。
参考【VDSLが遅くて限界】速度改善方法とおすすめの乗り換え先を紹介!
VDSLは工事不要で使える?光コンセントなしでもネット利用できる理由とは?
共用部分までは光ファイバー、屋内配線には電話回線を使用
通常、光回線を利用するためには各部屋に光コンセントを設置する必要があります。
しかし、VDSLの場合は共用部分まで光ファイバーが引き込まれ、共用部から各部屋へ既存の電話回線を通じてインターネット接続を提供します。
これにより、光コンセントがない住居でもVDSLを使ってインターネットが可能です。
建物内の配線をそのまま使用するため大規模な工事が不要
VDSLでは、既存の電話回線をそのまま使ってインターネット接続を行うため、配線を新たに敷設する必要がありません。
特に集合住宅の場合、電話回線はすでに各部屋に引き込まれていることが多いため、その回線を活用するだけで済みます。
その結果、「建物全体に影響を与えるような大規模な工事は必要ない」ため、工事不要と言われている理由になっています。
建物共用部から部屋まで光配線が引けない古い建物に多い
古い建物では、物理的に光ファイバーを各部屋に引き込むことが難しい場合があります。
例えば、配管スペースが不足していたり、構造上の問題で光回線の引き込みが困難なケースです。
そのような建物でも、VDSLなら既存の電話回線を使用するため、工事不要でインターネット接続が可能です。
このため、屋内配線の光ファイバーを敷設するための追加工事が困難な古い建物では、「VDSLが現実的で手軽な選択肢」となることが多いのです。
通信速度は光回線より遅いが工事不要で利用できる場合が多い
VDSLは光回線と比べると通信速度は遅くなります。
屋内配線に電話回線を使ってインターネット接続を行うため、100Mbpsが最大の通信速度になります。
光配線方式では、光ケーブルの両端に接続する機器の性能によって速度は変わりますが、1〜10Gbpsの通信速度が最大となります。
VDSLでは、動画のストリーミングや大容量ファイルのダウンロードなど、データ量が多い用途では遅さを感じることがあるかもしれません。
VDSL利用開始時に必要な工事と条件について
VDSL導入時に必要な工事や、工事が発生する条件について解説します。
ポイント
- 前提として共用部分にVDSL設備が設置されていている必要がある
- 屋内配線が正常であれば個別の宅内工事は不要
- 宅内にVDSLモデムやホームゲートウェイ(HGW)の設置は必要
- 工事立ち会い不要!作業員が自宅に派遣されない「無派遣工事」となる場合もある
前提として共用部分にVDSL設備が設置されていている必要がある
まず、VDSLを利用するには、建物の共用部分にVDSL設備が設置されていることが前提です。
VDSL設備がない建物では、そもそもVDSLを使うことができません。
そのため、住んでいる建物がVDSL対応かどうかを確認することが必要です。(回線事業者のホームページで、対象物件のサービス提供型が確認できます)
屋内配線が正常であれば個別の宅内工事は不要
VDSLを導入する際、既存の電話回線が正常に機能していれば、宅内での大規模な工事は基本的に不要です。
ただし、古い建物や電話回線が劣化している場合、または過去に撤去されている場合は、修理や再配線が必要になる可能性があります。
このようなケースの場合は、工事が必要になります。
宅内にVDSLモデムやホームゲートウェイ(HGW)の設置は必要
VDSLを利用するためには、回線事業者から貸与されるVDSLモデムの設置を行う必要があります。
設置や配線自体は難しくなく、回線事業者からの案内の通りに設置すれば誰でも行えます。
工事立ち会い不要!作業員が自宅に派遣されない「無派遣工事」となる場合もある
光回線を利用開始する際、工事には「派遣工事」と「無派遣工事」の2種類があります。
「派遣工事」は作業員が自宅に来て、配線作業や機器の設置を行うタイプの工事ですが、全てのケースで作業員が派遣されるわけではありません。
条件が整っている場合には、光回線事業者の局内工事と、共用部のみでの開通作業で済むため、「無派遣工事」が適用されることもあり、その場合は作業員の宅内への訪問が不要となります。
工事不要で利用できるVDSL以外のネット回線を紹介
VDSL以外の簡単に始められるインターネット回線をいくつか紹介します。
参考【代替案】光回線が引けない!光回線以外のおすすめインターネット回線を全解説!
J:COM NET(テレビ用のコンセントを使用)
J:COM NETは、光回線のプランと、同軸ケーブルを利用したプランの2種類を提供しています。
同軸ケーブルを利用したプランは、テレビ用のコンセントを利用してインターネット接続ができる手軽なサービスです。
通信速度はVDSLよりも速い最大1Gbpsの通信速度で利用できます。
また、J:COMのケーブルテレビと一緒に契約することで、テレビ視聴とインターネット利用を1つの契約でまとめることができ、コストパフォーマンスも高いです。
\VDSLよりも速い最大1Gbps/
提供エリア | 日本全国 ※住所や物件によっては利用できない場合があります。 詳細は必ずJCOM公式HPをご確認ください |
開通までの期間目安 | J:COM NET 1Gコース:最短4日〜(同軸ケーブル利用) |
最大通信速度 | 1Gbps 320Mbps |
セット割引 | auスマホと自宅の光回線セットで最大1,100円/月の割引 UQモバイル指定プランとセットで最大1,100円/月の割引 J:COMサービスとセットで、J:COMモバイルのデータ容量増量 |
初期費用 | 手数料:3,080~3,300円(税込) 基本工事費:47,520円(税込) |
月額料金 | 5,258円〜7,568円(税込)(プランにより異なる) |
契約縛り期間 | 縛りなし |
契約解除料 | プランにより異なる |
運営会社 | JCOM株式会社 |
参考J:COM NETってどんな回線?メリット・デメリットから口コミ・評判まで全て解説!
ドコモhome 5G(5Gホームルーター)
ドコモhome 5Gは、工事不要で利用できる5G対応のホームルーターです。
ルーターをコンセントに挿すだけで、すぐに高速なインターネットを利用することができます。
ドコモの広範囲にわたるネットワークに対応しているため、都会だけでなく地方でも高速で利用できるのが強みです。
\最大4.2Gbpsの高速5G対応!/
月額料金 | 4,950円(税込) |
セット割引 | ドコモユーザー:1,100円/月 割引 (離れて暮らす家族分も最大20台まで対応) |
速度制限 | 直近3日のデータ消費量が多いユーザーは、他のユーザーと比較して低速となる場合有り |
端末購入 | 一括または分割購入 |
契約期間 | 縛りなし |
運営会社 | 株式会社NTTドコモ |
WiMAX+5G(5Gホームルーター)
WiMAX+5Gは、UQコミュニケーションズが提供する5G対応のホームルーターで、柔軟に利用できる無線インターネット回線です。
WiMAXは、長年無線通信の分野で信頼性の高いサービスを提供しているため、5Gエリアで高速なデータ通信が可能で、高速なネット利用ができます。
ただし、5Gの通信エリアはまだ限られている地域もあるため、事前にエリア確認を行うようにしてください。
\ 高速5G・無制限・縛りなし/
利用回線 | UQ・au |
通信規格 | WiMAX・5G・4G LTE |
最大通信速度 | 下り:4.2Gbps 上り:286Mbps ※一定期間内に大量のデータ通信をした場合は、ネットワーク混雑時間帯に速度制限がかかる場合有り |
データ容量 | 無制限 |
料金 | 1,397〜4,950円(プランにより異なる) |
端末 | 購入が必要(一括・分割) |
契約期間 |
プロバイダーにより異なる |
運営会社 | UQコミュニケションズ 他 |
ソフトバンクエアー(5Gホームルーター)
ソフトバンクエアーは、ソフトバンクが提供する工事不要で簡単に設置できる5G対応のホームルーターです。
ソフトバンクやワイモバイルのスマホとセットで利用すると割引が適用されるため、ソフトバンクやワイモバイルのスマホを使っている方にとってはコスパが非常に高くなります。
エリアや建物の構造によっては、電波の受信状況が異なることがあるため注意が必要です。
\高速5G対応のホームルーター/
基本料金 | 3,278円〜5,368円 ・スマホがソフトバンクの方はスマホ料金が永年1,100円割引 |
利用回線 | SoftBank・Y!mobile |
通信規格 | AXGP・5G・4G LTE |
通信容量 | 無制限 |
通信速度(下り最大) | 2.1Gbps(端末機種により異なる) |
端末 | エアターミナル5 購入が必要(一括・分割) |
契約期間 | 縛りなし |
運営会社 | ソフトバンク株式会社 |
まとめ:VDSLは電話回線を使うため工事不要で利用開始できるケースが多い
VDSLは、光コンセントがなくても既存の電話回線を使ってインターネット接続が可能な便利な選択肢です。
特に集合住宅では、共用部分まで光ファイバーを引き込み、そこから電話回線を利用して手軽にインターネットを始められる点が大きなメリットです。
まとめ
- VDSLは集合住宅で光コンセントなしでもインターネット利用が使える
- 光ファイバーは共用部分まで引き込まれ、部屋へは既存の電話回線を使用
- 既存配線を使うため、大規模な工事は不要となる場合が多い
- 古い建物で光配線が難しい場合、VDSLが現実的な選択肢となる
-
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参考リンク
- NTT東日本:集合住宅の導入工事と配線方式について
- フレッツ光公式:フレッツ光ネクスト マンションタイプ(VDSL方式)機器接続方法