
インターネット利用時のセキュリティを強化し、プライバシーを保護するために、VPN(仮想プライベートネットワーク)が注目されています。
この記事では、VPNの仕組みやメリット・デメリット、実際の活用例、そしてVPNが必要な人・不要な人の特徴までをわかりやすく解説します。

安心してインターネットを楽しむために参考にしてみてください。
この記事で分かること
- VPNの仕組みや種類と特徴
- VPNの主なメリット・デメリット
- VPNの具体的な活用シーンとVPN選びのコツ
- VPNを利用すべき人・不要な人の特徴 など
ご意見やご感想、ご質問や体験談など、ぜひ気軽にコメント欄で教えてください。
そもそもVPN(仮想プライベートネットワーク)とは?


VPNとは?
- 通信内容を暗号化して安全に守る仕組み
- 離れた拠点同士を仮想ネットワークで安全に接続する
- 企業利用から個人利用まで幅広く活用される技術
通信内容を暗号化して安全に守る仕組み
VPNとは、「Virtual Private Network(仮想専用線)」の略で、インターネット上の通信を暗号化し、安全に行うための仕組みです。
たとえば、フリーWi-Fiを使うと、通信が第三者に盗み見られるリスクがあります。
しかしVPNを使えば、送受信されるデータは暗号化されるため、たとえ傍受されても中身を読み取ることができません。
これは、デジタル空間で自分のデータを守る「透明なトンネル」のようなイメージです。

離れた拠点同士を仮想ネットワークで安全に接続する
VPNは、地理的に離れた場所同士を、安全な仮想ネットワークでつなぐこともできます。
たとえば、東京と大阪にあるオフィスをVPNで接続すれば、まるで同じ建物の中にいるかのように安全にデータを共有できます。
また、在宅勤務の社員が会社のネットワークへアクセスするときもVPNが使われています。

企業利用から個人利用まで幅広く活用される技術
かつてはVPNは主に企業向けの技術でしたが、現在ではスマホアプリ形式のVPNなど個人利用の需要が急速に増えています。
海外旅行中に日本の動画配信サービスを見たい場合や、外出先のフリーWi-Fiを安全に使いたい場合にも役立ちます。
スマホアプリやPCソフトとして簡単に導入できるため、技術的な知識がなくてもすぐに使えるのも魅力です。

VPNの仕組み・種類・プロトコルをやさしく解説


VPNの仕組みをわかりやすく整理しながら解説します。
VPNの仕組みは?
- VPNの基本構造とは?安全な通信を支える4つのポイント
- VPNの主な4種類とそれぞれの特徴
- VPNを支える主要プロトコルの特徴と違い
VPNの基本構造とは?安全な通信を支える4つのポイント
VPN(Virtual Private Network)は、前述の通り「インターネット上にもうひとつの専用線を作る」ような技術です。
この仕組みによって、外部からデータを盗み見られるリスクを大きく減らせます。

| VPNの基本構造 | |
| トンネリング | データを安全に通す「仮想のトンネル」を作る仕組み。 外部から中身を覗かれずに通信できます。 |
| カプセル化 | 通信データをパケットに包み込み、安全にネット上を移動させます。 |
| 認証 | 接続している相手が本当に正しい相手かを確認し、不正アクセスを防ぎます。 |
| 暗号化 | 通信内容を第三者に読まれないよう変換し、情報の機密性を守ります。 |
VPNの主な4種類とそれぞれの特徴
VPNにはいくつかの種類があり、目的やセキュリティの強さによって使い分けられます。

| VPNの主な種類 | |
| インターネットVPN | 一般的なインターネット回線を利用して作るVPN。 コストが安く導入しやすいですが、通信の安定性は回線状況に左右されます。 |
| エントリーVPN (閉域IP網型) | 通信事業者が提供する専用のIPネットワークを使う方式。 インターネットを経由しないため、安定性とセキュリティのバランスが良いです。 |
| IP-VPN (レイヤー3閉域網) | 通信事業者のネットワーク(レイヤー3)上に構築され、企業間通信などで高い安全性と品質を実現します。 法人向けの定番方式です。 |
| MPLS-VPN (大規模拠点向け) | MPLSという技術を使い、複数の拠点を高品質に接続するVPN。 大企業や官公庁、海外拠点を持つグローバル企業などで利用されています。 |
VPNを支える主要プロトコルの特徴と違い
VPNは、どのようにデータを暗号化し、どのように安全なトンネルを作るかによって種類が分かれます。

代表的なプロトコルを以下にまとめました。
| VPNプロトコルの種類 | |
| IPsec | 通信内容をしっかり暗号化し、データの改ざんや漏えいを防ぐ高信頼な方式。企業ネットワークでもよく使われています。 |
| PPTP | 接続が速くて手軽ですが、暗号化が弱く安全性の面で現在は推奨されません。 |
| L2TP/IPsec | L2TPのトンネル構造とIPsecの暗号化を組み合わせた方式。安全性が高く、企業・個人のどちらにも人気です。 |
| OpenVPN | オープンソースで開発された柔軟なプロトコル。ポート制限を回避できるため、検閲の厳しい国でも安定して接続できます。 |

VPNを使う主なメリットは「安全性」と「プライバシー保護」


VPNのメリット
- 暗号化通信で情報漏えいリスクを軽減
- IPアドレス・位置情報を隠してプライバシーを守る
- 地域制限のあるサイトや動画にアクセスできる
- 海外サーバー経由でサブスク料金を安く利用できる
- 海外サーバー経由の申し込みで旅行費用を節約できる場合もある
暗号化通信で情報漏えいリスクを軽減
VPNを使うと、送受信するデータが暗号化されるため、第三者に盗み見られる心配がほとんどありません。
オンラインショッピングやネットバンキングの際も、データを安全に送信できるようになります。
特にフリーWi-Fiを利用する際は、暗号化の有無がセキュリティの大きな分かれ道になります。

IPアドレス・位置情報を隠してプライバシーを守る
VPNを使うと、あなたの本当のIPアドレスや位置情報を隠すことができます。
これにより、第三者や広告会社、ウェブサイト運営者があなたの行動を追跡しにくくなります。
ただし、VPNを使っても完全に匿名になるわけではありません。
ブラウザのクッキーや端末情報などから、行動を特定されることもあります。

地域制限のあるサイトや動画にアクセスできる

ジオブロックによる利用制限
VPNを使えば、他の国にいるように見せかけてアクセスすることができます。
たとえば、日本国内限定の動画配信サービスを海外から視聴したり、海外限定のサイトに日本からアクセスすることも可能です。
これは、VPNが「仮想的に他国のサーバーを経由して通信する」ことで実現します。

一部の動画配信サービスやウェブサイトでは、VPNの利用を禁止している場合があります。
利用前に必ずそのサービスの利用規約を確認し、ルールに違反しないように注意しましょう。
海外サーバー経由でサブスク料金を安く利用できる
一部のサブスクリプションサービスでは、国や地域によって料金が異なることがあります。
VPNを使って別の国のサーバーに接続すれば、より安い料金で契約できるケースもあります。

VPNを正しく使えば、コスト削減のチャンスにもなりますが、ルールを守ることが大切です。
特に料金設定が国ごとに異なるサブスクサービスでは、VPNの利用を禁止している場合があります。
必ず公式の利用規約を確認し、規約に則り利用しましょう。
海外サーバー経由の申し込みで旅行費用を節約できる場合もある
旅行予約サイトなどでは、アクセス元の国によって表示される価格が異なる場合があります。
VPNを利用して異なる地域のサーバーからアクセスすることで、より安い価格が表示されることもあります。
しかし、これも利用規約上の制限に抵触する恐れがありますので注意が必要です。
旅行サイトによっては、VPNを使ったアクセスを不正とみなすケースもあるため、必ず規約を確認してから利用するようにしましょう。
賢く使えば旅行費用を節約できますが、ルールを守る姿勢が重要です。
VPNのデメリットは、通信速度の低下とコスト負担

VPNは多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットや利用上のリスクも存在します。ここでは導入前に知っておくべきマイナス面を解説します。
VPNのデメリット
- 暗号化による通信速度の低下が起こる場合がある
- 高品質なVPNサービスは月額費用が発生する
- 無料VPNは速度や安全性に不安がある
- 一部VPNではログ保存によるプライバシーリスクがある
暗号化による通信速度の低下が起こる場合がある
VPNを利用すると、すべての通信が暗号化されたうえでVPNサーバーを経由するため、通常よりも通信速度が遅くなる場合があります。
とくに動画のストリーミングやオンラインゲームなど、リアルタイム性が求められるサービスでは遅延が気になることもあるでしょう。
高性能なVPNサービスを選ぶことである程度緩和できますが、通信経路が増える以上、完全に回避するのは難しい部分もあります。

高品質なVPNサービスは月額費用が発生する
信頼性が高く、速度も安定しているVPNサービスの多くは有料です。
料金は月額数百円から1,000円前後が相場ですが、年間契約で割引されるケースもあります。
無料VPNも存在しますが、後述のようにリスクが大きいため、安全性と快適性を求めるなら有料VPNを検討するのが賢明です。

無料VPNは速度や安全性に不安がある
無料VPNは魅力的に見えますが、速度が不安定だったり、セキュリティが不十分な場合があります。
また、ユーザーの接続情報を収集して第三者に販売している悪質な無料VPNも報告されています。
「無料には理由がある」と理解し、無料VPNを使う場合は提供元の評判やプライバシーポリシーを必ず確認しましょう。
信頼性に疑問が残る無料VPNを使用することは、かえって個人情報漏えいのリスクを高めてしまうこともあります。
一部VPNではログ保存によるプライバシーリスクがある
VPNサービスの中には、ユーザーのアクセス履歴や通信記録(ログ)を保存しているものがあります。
このログが万が一漏洩したり、外部の第三者に開示された場合、プライバシーの侵害につながる恐れがあります。
「ノーログポリシー」と明言しているVPNを選ぶことで、こうしたリスクを最小限に抑えることができます。
なお、ノーログポリシーとは、ユーザーの接続情報や閲覧履歴を一切保存しないという運用方針を指します。

VPNの利用を積極的に検討したい人の特徴

VPNはすべての人に必須というわけではありませんが、以下のような人には特に強くおすすめできます。
VPNが必要な人の特徴
- 外出先でフリーWi-Fiをよく利用する人
- 海外の動画・コンテンツを視聴したい人
- テレワークで社外から社内ネットワークへ接続する人
- 個人情報やプライバシー保護を徹底したい人
外出先でフリーWi-Fiをよく利用する人
カフェ、空港、ホテルなどのフリーWi-Fiを使う機会が多い人は、VPNの利用がとても重要です。
こうしたフリーWi-Fiは誰でも接続できるため、悪意のある第三者が通信を盗み見ようとすることがあります。
VPNを使えば通信が暗号化されるため、盗み見られても情報を守ることができます。

海外の動画・コンテンツを視聴したい人
NetflixやYouTubeなどの動画配信サービスには、国や地域によって視聴できるコンテンツが異なるものがあります。
VPNを使って海外のサーバー経由でアクセスすれば、視聴制限を回避できることがあります。
ただし、これらのサービスの多くはVPNの使用を検知・制限しており、視聴ができない場合もあります。

テレワークで社外から社内ネットワークへ接続する人
在宅勤務や出張先などから社内ネットワークにアクセスする際には、セキュリティの確保が非常に重要です。
VPNを使えば、社内と同じような環境で、安全に業務データへアクセスすることができます。
多くの企業では、情報漏えい対策としてVPN接続を義務付けています。

個人情報やプライバシー保護を徹底したい人
インターネット上では、検索履歴や位置情報、アクセス先など、さまざまな情報が蓄積されています。
プライバシーを意識してインターネットを使いたい人にとって、VPNは強い味方です。
VPNは、IPアドレスや通信内容を見えにくくすることで、デジタル上の足跡を最小限にできます。

VPNの必要性が比較的低いケース


以下のような人は、VPNが必須ではない可能性があります。
VPNの利用は要検討
- 自宅ネットワーク中心で利用している人
- 通信速度を最優先にしたい人
- 通信コストをできるだけ抑えたい人
- プライバシー保護を重視しない使い方をしている人
自宅ネットワーク中心で利用している人
自宅のインターネット環境が安全で、フリーWi-Fiを使うことがほとんどない人は、VPNの必要性は低いかもしれません。
また、自宅のWi-Fiルーターにしっかりとしたセキュリティ設定(WPA2など)がされていれば、日常のネット利用には問題ないでしょう。

通信速度を最優先にしたい人
オンラインゲームや高画質な動画視聴など、通信速度が重要なアクティビティを頻繁に行う人は、VPNの使用による遅延がストレスになる可能性があります。
特にリアルタイム性が求められる場面では、VPNは向いていないことがあります。
一部の高速VPNではこの問題を軽減できますが、元の速度を完全に維持するのは難しいのが現状です。

通信コストをできるだけ抑えたい人
有料VPNサービスの料金は月額制が多く、ランニングコストが発生します。
もしコストを最小限に抑えたいという目的が強い場合、VPNは優先順位が低くなるかもしれません。
ただし、無料VPNは前述のようにリスクもあるため、「無料=安全」とは思わないように注意が必要です。

プライバシー保護を重視しない使い方をしている人
もしあなたがネットでの検索履歴やアクセス情報の追跡などを特に気にしないのであれば、VPNは必須ではないかもしれません。
ただし、今後プライバシーへの意識が高まったときのために、VPNの存在を知っておくことは大切です。

VPNってどんなときに使うの?リアルな活用事例を紹介


VPNの典型的かつ効果的な活用事例を紹介します。
VPNが役立つ場面
- 社外から社内ネットワークに安全にリモート接続する
- 出張先やカフェのWi-Fiで安全に通信する
- 海外滞在中に日本の動画配信サービスを視聴する
- フリーWi-Fi環境で安全にオンライン決済を行う
社外から社内ネットワークに安全にリモート接続する
テレワークの普及により、自宅や外出先から社内システムへアクセスする場面が増えました。
このような場合、VPNを利用することで、会社のネットワークと安全に接続でき、社内ファイルやメールサーバーにアクセスできます。
通信が暗号化されるため、業務データが外部に漏れる心配も大幅に軽減されます。

出張先やカフェのWi-Fiで安全に通信する
出張中や外出先のカフェ、ホテルなどでインターネットを使う際には、VPNの導入が非常に効果的です。
これらのフリーWi-Fiはセキュリティが弱く、通信内容が盗まれるリスクがあります。
VPNを使えば、ネットバンキングやメール、業務で使用するアプリの使用も安全に行えます。

海外滞在中に日本の動画配信サービスを視聴する
海外に長期滞在中でも、日本の動画サービスを使いたいという方は多いでしょう。
VPNを使って日本のサーバーを選択すれば、日本からアクセスしているように見せかけることができ、日本国内限定のコンテンツを視聴できます。
ただし、NetflixやAmazon Prime Videoなどは、VPN接続を検出しアクセスを制限するケースもあります。

フリーWi-Fi環境で安全にオンライン決済を行う
旅行中や出張中など、外出先で買い物やネットバンキングを行う機会もあるでしょう。
このような場面でVPNを使えば、通信が暗号化されるため、クレジットカード情報や口座情報の漏洩リスクを大きく下げられます。
特に、フリーWi-Fiは多くの人が同時に使っているため、悪意あるユーザーにデータを盗まれるリスクが高いです。

(まとめ)VPNはセキュリティと海外利用に強い味方

VPNは、ネット上のセキュリティを高め、プライバシーを保護し、地域制限のあるコンテンツにもアクセスできる便利なツールです。
特に、外出先でのWi-Fi利用が多い人、海外との関わりがある人、テレワークを行っている人には、VPNの利用を強くおすすめします。
一方で、自宅ネットワーク中心で通信速度を最優先にしたい人、コストを極力抑えたい人には、VPNは必須ではないかもしれません。
また、VPNを使う際には「利用規約違反」にならないよう注意が必要です。
動画配信サービスやサブスクサービスなどは、VPN接続を明確に禁止していることもあります。

この機会に、自分のネット利用を見直し、必要であればVPNを賢く活用してみましょう。
VPNが必要な人の特徴
- 外出先でフリーWi-Fiをよく利用する人
- 海外の動画・コンテンツを視聴したい人
- テレワークで社外から社内ネットワークへ接続する人
- 個人情報やプライバシー保護を徹底したい人
まとめ
- VPNはデータの暗号化や位置情報の保護、プライバシーの確保などのメリットがある
- 自宅や社内のネットワークへの安全なアクセスなど、さまざまな場面でVPNを活用できる
- VPNの利用には、通信速度の低下や利用料金がデメリットとして存在する
- セキュリティとプライバシー保護を強化するために、VPNの活用を検討しよう
参考リンク
- マイクロソフト VPNとは?:https://azure.microsoft.com/ja-jp/resources/cloud-computing-dictionary/what-is-vpn/#what-is-a-vpn
- テレワークで業務用端末を利用する場合の対策 - 総務省:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/business/business_staff_21.html
- みんなで守るIoT、NOTICE:https://notice.go.jp/
- IPA 公衆無線 LAN 利用に係る脅威と対策:https://www.ipa.go.jp/security/reports/technicalwatch/hjuojm0000005mkw-att/000051453.pdf







